また「魔球」が誕生する-。日本ハム・ダルビッシュ有投手(23)が「マツダオールスターゲーム2010」(23日=福岡ヤフードーム、24日=ハードオフ新潟)で、謎の新球を披露することを明らかにした。23日の第1戦で全パの2番手として登板予定。詳細は当日のお楽しみとしたが「空振りして、ヘタしたら(打者の)顔に当たるようなボール」などとヒントは明かす仰天の球種だ。開幕戦で導入したワンシーム、シーズン中にマスターした高速チェンジアップに続き、新たな球種で真夏の祭典を彩る。

 サングラスの奥の瞳に不敵な笑みを浮かべ、宣戦布告した。ダルビッシュが全セの強力打線、野球ファンへのプレゼントを用意していた。

 ダルビッシュ

 コンディションもいいし、試してみようというボールが見つかった。明日(23日)のブルペンで試してみてからですけれどね。ヒント?

 おおざっぱにでも言いませんけれどね(笑い)。

 即興で決めた。きっかけは21日ロッテ戦の試合前練習中。球宴、またその後の後半戦へ向け、思案しながらのキャッチボールをしていると「昨日、突然です」と、ひらめいた。厚沢投手コーチを捕手役にして試投したところ、同コーチが2度ほど捕球し損ねるほどの変化だったという。「感じが良かった。ほかのプロの投手も投げていない球ですから」と言うように、お披露目の場に球宴を選んだ。

 謎は深まるばかりだが、サービス精神旺盛なエース。何度も詳細を明かすのは拒みながらも、手がかりは残した。

 (1)主に左打者に使用

 (2)既存の球種とは軌道が違う

 (3)球速は140キロ前後

 この3つの具体的なヒントを明かした上で「空振りして、ヘタしたら(打者の)顔に当たるようなボール。曲がるとか、そんなんじゃない」と大胆不敵に解説した。落差があることは想定できるが、どんな動きをするのかは闇の中。落差が大きすぎて空振りした打者の顔にワンバウンドして跳ね返るのか、西武潮崎投手コーチが現役時代に投げた、1度浮き上がってから、左打者の外に沈む「高速シンカー」の、逆変化バージョンなのか、想像もつかない。ただ完全にマスターできた場合に、まさに“危険球”となるような新球を編み出したことになる。

 開幕戦で多投したワンシームに続く「魔球」が、1年に1度の夢舞台でさく裂する。試作段階のキャッチボールをチェックしていたのが、ダルビッシュが信頼を置く中垣チーフトレーナー。プロ入りから数々のシーンを目の当たりにしてきたが、今回は「初めて見た打者は打てないでしょうね」と、少しあきれながら証言した。ドキドキワクワクのサプライズが起きる、予兆はたっぷりだ。

 4年連続4度目の球宴。先発以外は初めてだが、ダルビッシュが主役級の一手を敢行する。手応えを深めることができれば「(今後の)試合でも使おうと思っている」と明かした。昨年は打球直撃で途中降板、一昨年は登板中の鼻血など災難続きの晴れ舞台。当初は清めの塩をまいて出陣する考えもあったが、封印。難解そうな新球と対照的な明快ジョークで、豪快に笑い飛ばした。「塩?

 まけるんなら、もう何でもいいですよ。砂糖でもいい」。天才右腕が、夏祭りを壮大に演出する。【高山通史】

 [2010年7月23日8時50分

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