<日本ハム6-2ソフトバンク>◇1日◇札幌ドーム
日本ハム陽岱鋼外野手(23)が勝利を引き寄せる値千金の一打を放った。ソフトバンク戦の1点リードで迎えた6回無死満塁で、走者一掃の3点適時三塁打。この回5連打で4点を挙げ、追いすがる相手を一気に突き放した。チームは負ければ借金生活に入るがけっぷちで踏みとどまり、順位も1日で4位に再浮上。クライマックスシリーズ進出、そして奇跡の逆転優勝へ可能性をつなぎとめた。
後ろ髪をなびかせ、ダイヤモンドを疾走した。三塁ベースまでたどり着くと、両こぶしを小さく振り下ろした。陽が、難攻不落の左腕を仕留めた。1点リードの6回無死満塁。和田の初球チェンジアップを、砕いた。右中間をライナーで突き破る。走者一掃三塁打。こん身の一振りで接戦の緊迫感から解放し、球界屈指の左腕をKOした。
パンプアップした心身が、はじけた。「気持ち、気合だけ」。この回の先頭打者の小谷野が出塁。チャンスが到来しそうな、直前のロッカー室で、吹っ切れた。故障で先発落ちした糸井、前夜のスタメンの紺田と遭遇。この日は中堅の座を任された陽は「おいしいところが回ってくるから決めろ」と激励された。
緊張がほぐれ、謎の行動に出た。その場でなぜか腕立て伏せ、腹筋をそれぞれ計約10回したという。あこがれのヤンキース・ロドリゲスになれ、との進言も受け2人に、大胆にモノマネを披露。そのまま打席へと飛び出し、自身初の1試合3打点の大仕事をした。
二人三脚で勝負をかけた1年の土壇場で、大チャンスが巡ってきた。05年高校生ドラフト1巡目で入団したが、定位置を奪えずに今季が5年目。オフには太りやすくなるため、謝宛容夫人が食事制限。好物の白米は特別な日しか許されず、苦手な玄米を主食にされた。焼き肉など高カロリーの物を嗜好(しこう)しているが「きついです」と心が折れそうな時もあったが、誘惑に耐えた。
キャンプから最良のコンディションで突入し、シーズン佳境に来て花開く予兆を見せた。梨田監督は「(試合)途中までは迷っていたようだけど、ヨウ分からん」と得意のダジャレで称賛し、ご満悦だ。中田と野手のスター候補生と期待されていた、逸材が輝いた。あきらめかけてもおかしくないチーム状況だが、新鮮な尊い誓いを明かした。「昨年のチャンピオンチーム。もう1回、優勝したいし、貢献したい」。陽が不屈の魂を、注入した。【高山通史】
[2010年9月2日11時33分
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