<阪神6-3横浜>◇2日◇甲子園
やっぱり神様です。阪神の代打の切り札・桧山進次郎外野手(41)が、1点を追う6回2死満塁で登場。横浜加賀から逆転の2点中前打を放ち、自身の代打安打をセ・リーグ単独6位の115とするとともに、主導権を奪い取った。火のついた打線は13安打6点で打ち勝ち、破竹の5連勝。貯金を今季最多タイの16とし、試合のなかった巨人に2ゲーム差をつけた。脅威の平成ダイナマイト打線を、いぶし銀の神様が支える。
これが神業か。タイミングを外されても、桧山は右手1本でボールを拾っていた。前夜までの猛打が一転の沈黙。今夜こそ負けか…。重い空気が漂っていた甲子園はその瞬間、総立ちになった。中前で弾む逆転の2点タイムリー。代打の神様が聖地に降臨した。
「敬遠は気にせんようにね。変に意識すると力むんで。でも初球を見逃して“アチャー”となって追い込まれて…。でも何とか食らいつこうと思ってました」。
1点を追う6回2死満塁での代打。前打者の林が敬遠され、真っすぐ系の見逃し、空振りで2-0と追い込まれた。だがベンチで加賀の配球を観察していた男は、勝負球シュートをインプットしていた。ここ7試合は1発を含む7打数5安打5打点の大当たり。115本とした代打安打は中日法元英明を抜き、セ・リーグ歴代単独6位までその名を上げた。
「いつもいつも打ち勝つゲームをしているように思われるけど、こういう接戦をものにすると勢いがつく。そんな中に自分がいられることがうれしいですね」。
衰え知らずの神様に、球団も契約更新の方向で話を進めている。この日までに球団首脳が編成会議を開催。来季は42歳を迎えるが、勝負強い打撃はもちろん、実直に練習や試合に取り組む姿勢も高い評価の対象とされた。暗黒時代も知れば2度の優勝も知る“生え抜きのかがみ”。よほどのアクシデントがない限り、20年目のタテジマは確実だ。
神様が神様で居続けられる理由は、あくなき向上心にある。本来は右利きで右打ち。だが体力づくりも兼ねて行うゴルフでは、昨オフから左打ちの練習も半分取り入れるようになった。
「トップの割(作り方)とか、ひざの使い方が打撃と同じ。ゴルフもいいフォームで打たないとボールは飛ばない。オフで忘れがちになってしまうスイングの感覚も養えるんですよね」。
1年中、頭の中に野球がある。不惑を過ぎても「もっとうまくなりたい」と願う野球小僧。だから「何か野球に通じるものがないか」と日常生活でもヒントを探している。「ゴルフはもっと早く左で打っとけば良かったです」。若々しい探求心は並の41歳ではない。
「ベテランらしい読み。(打線は加賀に)合ってなくて苦労したけど、本当にいい所で打ってくれたね」真弓監督も絶賛の一撃で猛虎がお目覚め。13安打で6点を奪い快勝した。貯金16が最多タイなら2位巨人とのゲーム差2も最大タイの首位固めだ。「ここで観戦の方もテレビの前で観戦の方も、誰がいなくても頂点は取れません。これからも応援をよろしくお願いします」。お立ち台でVを誓った神様に、この日が48回目の誕生日だった和田打撃コーチも感謝した。「いいプレゼントをありがとう!!」。一丸の虎がますます勢いに乗った大きな1勝。今夜は広島戦、初の6連勝もいただきだ。【松井清員】
[2010年9月3日11時3分
紙面から]ソーシャルブックマーク



