日本ハムが今オフの契約更改交渉で、田中賢介内野手(29)に複数年3年の大型契約を提示することが25日、分かった。今季国内フリーエージェント(FA)権を取得。権利を行使せずに残留する意向をすでに固めているが、将来の幹部候補生として高く評価しており、球団としては異例の長期契約を結ぶ見込みだ。来季以降のチーム再浮上へ欠くことができないキーマンだけに、最大限の熱意を見せる形になった。

 日本ハムの不変の評価が、田中への数字で示されることになった。早ければ11月上旬にも行われるFA交渉で、球団としては破格の条件を用意していることが判明した。3年の複数年での長期契約の提示。田中はすでにチーム愛を1つの理由として、FA権を封印して残留することが決定的。球団が、その思いに応えるような待遇でプレー環境を整えることになった。

 逆襲を描く来季以降の青写真の軸だけに、精いっぱいの熱意を見せる。今季は自身シーズン最高、今季パ・リーグ2位の打率3割3分5厘をマーク。3拍子そろったリードオフマンとして、名実ともに一流選手の仲間入りをした。国内他球団が水面下で、FA権の動向を調査。それでも今季は5年ぶりBクラスの4位に終わったこともあり、選手会長の田中本人も熟慮の末、行使せずに残留を決めた。

 メジャー移籍騒動を収束させたダルビッシュが投の柱なら野手陣は田中。今後のチームを担う投打の両輪だ。来季は順調ならば海外FA権を取得するが、その動向が不明にもかかわらずに今オフ、大型契約を提示することになった。今季年俸1億9000万円からのアップは確実で、稲葉を抜いてチームの野手最高年俸になることが濃厚。3年総額7億円以上とみられる資金を準備しているもようだ。

 野球への取り組みも真摯(しんし)で、生え抜き選手だけに、球団の次代を担える人材としても評価。それが数字に直結した。稲葉が今季まで2年契約を結んでいた例はあったが、新経営陣へと移行した04年の球団移転以降は、最長となる3年の複数年契約。球団幹部は「(条件は)まだ本人にも伝えていないし、分からない」と詳細は明かさないが、その方向で調整完了している。

 [2010年10月26日11時3分

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