右肩関節炎からの復活を期すソフトバンク新垣渚投手(30)が、サイドスローに転向する可能性が出てきた。26日、福岡市の西戸崎合宿所でキャッチボールやランニングなどで調整。故障に苦しんできた経験をふまえ、大胆なフォーム改造も辞さずの覚悟を示した。すでにウエスタン・リーグで横手投げを試投したことも告白。53勝右腕のプライドをかなぐり捨て、試行錯誤を続ける。

 背水の覚悟だ!

 悩める右腕、新垣から飛び出したのは衝撃的な発言だった。この日、キャッチボールなどで汗を流すと来季の復活に向けて思い切ったプランを明かした。サイドスローへの転向案だ。

 新垣

 今年は、シーズン(ウエスタン・リーグ)の後半から横から投げたり、ひじを下げて投げたりしていた。まだ出口は見えないんですが、右肩への負担を減らすフォームを探しています。秋季キャンプでのテーマはフォーム固めとコントロールの安定ですね。

 150キロ超の直球を武器に04年から3年連続で2ケタ勝利をマークした。だが、自慢の剛速球の反動は大きく、右肩関節炎で苦しんできた。昨季は登板わずか4試合でプロ初のシーズン未勝利に終わり、今季はプロ8年目で初の1軍登板ゼロ。2年連続で勝利がなかった。しかも、今季は腰の状態も悪く、ウエスタン・リーグでの10試合登板で3勝5敗、防御率4・50という屈辱を味わった。試行錯誤の中で肩への負担を減らすため「サイドスロー転向」が、候補の1つに挙がった。

 昨年12月にもフォーム改造に取り組んでいた。当時は投球時に踏み出す左足の歩幅に注目。新垣は「少しでも打者の近くで投げられた方がいい。(右肩関節炎でリハビリ中の)肩に負担をかけないためにも、下半身の力もしっかり使って投げたい」と話し、従来の6足半から7足、距離にして約15センチ広げる「大また投法」で球威向上を図っていた。

 05年から昨季までは故障の影響で秋季キャンプはまともに過ごせていない。だが、11月1日からの秋季キャンプでは、初日からブルペン入りする予定だという。「(初日から)普通に入る。間隔は?態を見ながらですが」と、1軍復帰への強い決意を示した。

 今季チームが挙げた76勝のうち、右の先発投手が挙げた白星はたったの11勝。穴を埋めるためにも、来季は何が何でも結果を出さなければいけない。また、今夏には待望の長女が誕生した。家族のためにも、不退転の決意でフォーム改造に挑む。【菊川光一】

 [2010年10月27日12時10分

 紙面から]ソーシャルブックマーク