阪神がロッテからFA宣言する小林宏之投手(32)の獲得を検討し、本格調査に入ることが10日、分かった。小林宏の第1志望はメジャーだが、獲得球団がなかった場合、国内の受け皿に名乗り出る可能性が浮上。現在は守護神だが先発もできるマルチ右腕の動向を見守り、獲得の参戦準備を整える。

 阪神がコバヒロ取りに参戦する可能性が出てきた。この日、小林宏が11年間在籍したロッテからFA宣言することが確実となった。第1希望はメジャー。だが夢が破れた場合、阪神が国内球団の受け皿として名乗り出る可能性が浮上した。球団首脳は「もしアメリカの球団がなければ、獲得を検討してもいい」ときっぱり。本腰を入れて本格調査に入ることを明言した。

 小林宏は今季からロッテの守護神に配置転換。3勝3敗29セーブ、防御率2・21と安定した成績で5年ぶり日本一に貢献した。昨年までは先発の柱として4度の2ケタ勝利を挙げるなど、チームの顔として活躍。05年阪神との日本シリーズでは、甲子園での第3戦で勝利投手にもなった。阪神は来年33歳と脂の乗った円熟投法で、先発も抑えもできるマルチな才能に着目。白羽の矢を立てた。

 もちろん、強いメジャー指向は理解している。しかも、米球界との交渉は長期化が予想される。決着は年内どころか、年明け2月、3月までズレ込む可能性もある。その間、補強面などで「小林宏枠」を1つ空けておく必要があり、投手陣の構想が固まらない可能性もある。それでも国内でプレーするとなれば、魅力的な存在であることは間違いない。開幕ギリギリの入団も想定しながら動向をチェックしていくことになる。

 小林宏が加われば、投手陣の幅は一気に広がる。183センチの長身から投げ降ろす140キロ台の真っすぐや、切れ味鋭いフォークやスライダーは健在。先発としては高い完投能力を持つだけに、1年間ローテを任せられることは濃厚だ。今季は岩田、能見の故障や安藤の不調で苦労したやりくりに大きな計算が立つ。

 一方で今季実証した抑えの資質への評価も高い。終盤、藤川、久保田へのつなぎ不在に泣いた阪神にとって、ぜいたくなセットアッパー候補の登場になる。さらには藤川とのWストッパーなど、構想の可能性は発展。高い三振率や低い与四球率など、安定した投球は魅惑的だ。

 こうした実力者がミスミス、ライバル球団にさらわれては痛手となる。ソフトバンクも興味を示しているが、球団首脳は「マネーゲームはしない」と言いつつ、他球団の動向を注視。参戦への準備も整えていく。果たして虎のコバヒロは誕生なるか、注目が集まる。

 [2010年11月11日10時21分

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