阪神金本知憲外野手(42)が恩人をしのび、原点回帰で復活を誓った。広島市内のホテルで3日、昨年11月に死去した元広島監督の三村敏之氏(享年61)をしのぶ会に出席した。

 「7年間、ミムさん(三村氏)に育ててもらった。全力疾走など、今の自分があるのはミムさんのおかげです」

 金本は2時間の会を終えると、静かに深い感謝の気持ちを口にした。

 昨年11月3日に心不全で故三村氏が天に召されてから、1年1カ月がたった。しのぶ会には有志約80人が出席。黒いスーツに身を包んだ金本は、会の冒頭に献花。約5分間のスピーチでは「7年間、しごかれてしごかれて。それが僕の原点になっている」と若手時代を振り返った。会に出席した広島の高内野守備走塁コーチは「いいスピーチだったよね」としみじみと話した。

 「鉄人金本」を作った恩人だった。プロ入り時から2軍で2年、1軍で5年も鍛えられて「自分のすべては三村さんだった」と振り返る。昨年11月7日の告別式では弔辞で「またアグレッシブで勢いのあるプロ野球の神髄をみんなに見せていけるように頑張っていきます」と誓っている。

 ただ今季は右肩痛で4月に連続フルイニング出場がストップした。故障が長引き不本意なまま、シーズンを終えた。11月15日の契約更改では「またカープ時代のように、ギラギラした目でグラウンドで暴れられるように頑張りたい」と話している。故三村氏に厳しくも温かい目で見守られた原点の時代を思い出して、もう1度暴れ回るつもりだ。

 この日の午前中は広島市内のトレーニングジム「アスリート」で汗を流した。右肩痛の影響でバーベルを持ったスクワットを封印しているため、肩に負担がかからないよう下半身強化に力を入れた。すでに自主トレの本拠地である故郷で始動して、来季を見据えている。ギラギラしたかつての自分を取り戻し、天国の恩人に復活した姿を披露するつもりだ。

 [2010年12月4日11時18分

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