楽天田中将大投手(22)が15日、東京・代々木の大手予備校「代々木ゼミナール」の本部校代ゼミタワーで「勝負論」についての特別講義を行った。約200人収容の13階A号室は、先頭が朝7時から並んだという受験生で満員。田中は試験本番に臨む心構えなどを説いた。「マー先生」から勝負強さを伝授された若者たちが、ラストスパートで来春の「サクラサク」を手に入れる。

 「日日是決戦」「親身の指導」。代ゼミの校訓に挟まれ、講師マー君が教壇に立った。グレーのスーツをまとった姿は敏腕講師そのもの。受験本番を間近に控え、わらにもすがりたい学生たちも真剣そのもの。自身がCM出演するカレーのサンプリングが目的だったが、13階A号室の緊迫した空気で趣旨は変わった。「講師の代ゼミ」の看板にふさわしい「勝負論」の特別講義が始まった。

 本格的な勉強は「車の免許くらい」と謙遜したが、学生たちが最も求めている「勝負を制するすべ」は、身をもって体験している。自身に照らしたアドバイスは説得力があった。

 (1)継続は力なり

 田中

 先発の出番は1週間に1回。そのために日ごろの練習があります。積み重ねが試合本番での自信になる。試験だけ気合を入れてもダメ。結果同様に過程が大切。勉強の積み重ねが「これだけやった」という自信になると思います。

 (2)本命突破には苦手分野克服が必須。そこから平常心が生まれる

 田中

 セットポジション時、変化球の精度を高めるのが自分の課題。キャッチボールから意識して、試合でも同じようにできるまで繰り返す。苦手をなくせば自分を見失わなくなる。絶対負けられない大一番でも、落ち着いていられる。

 (3)朝食をしっかり食べる

 田中

 特にブドウ糖の摂取は、脳を活性化させる効果があるそうです。難しいことではない。自分も来シーズンは朝食を食べる機会をもっと増やします。

 最後は「大変な時期と思うが、夢に向かい努力していけばおのずと道は開ける。変わらず努力して」と結び、40分の講義は終わった。学業と野球。分野は違えど「勝負論」の本質に違いはなかった。【宮下敬至】

 [2010年12月16日9時3分

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