中日からトレード移籍した阪神新井良太内野手(27)が、実兄・貴浩内野手(33)との兄弟アベック弾に意欲を見せた。27日、西宮市内にある球団事務所で入団会見し、セ・リーグ史上初となる同一チームでの兄弟アベック弾実現を誓った。登録名は「新井良太」、背番号は「32」となることも発表された。

 長距離砲ブラザーズにしかできない、でっかい夢だ。入団会見を終え、タテジマのユニホームに初めて袖を通した新井良太の胸中には、兄貴浩との“共同作業”という大きな目標が描かれていた。

 新井良

 やっぱりファンの方は兄弟ホームランを期待されると思う。それが実現できるように頑張りたいと思います。

 ファンを楽しませることがプロ野球選手としての務めなら、これ以上のファンサービスはない。実績だけを見れば、兄の足元に遠く及ばないことは理解している。だが、長い野球人生で初めて同じチームで、同じユニホームに袖を通してプレーできることがプラスに働くと信じている。

 新井良

 立場も実績もかけ離れているが、同じユニホームを着てやれるということに関してはうれしいというか、興奮しています。兄には『よかったな』という一言しか言われてませんが、いい方向に行くと信じてます。

 実は今季、兄貴浩とニアミスを経験している。6月9日の楽天戦(Kスタ宮城)。新井良はプロ5年目で待望のプロ初本塁打を記録し、プロ野球史上23組目となる兄弟本塁打の偉業を達成した。結果を伝え聞いた兄貴浩は「オレも打っていれば、もっと親を喜ばせることができたのにな」と落胆した。

 だが10日の西武戦(西武ドーム)で兄も1日遅れの本塁打を記録。長距離砲として第1歩を踏み出した弟へ、兄の威厳を示してくれた。今度は同じチームで同じ日に、正真正銘のブラザー・アベック弾を…。思いが膨らむのも無理はない。

 もちろん、リーグ史上初の偉業を成し遂げるには、自身のレベルアップ以外に道はない。阪神は今季、チーム打率2割9分という驚異的な破壊力を誇り、新ダイナマイト打線として各球団の投手陣を震え上がらせた。そんな強敵ぞろいのラインアップに、通算1本塁打の自分が割って入るには、練習あるのみだ。

 新井良

 (兄は)プレッシャーはあるけど、すごくやりがいがあると言っていた。自分を見失わず、技術向上に全力を尽くしたい。

 目指すのは、限られた者にしか許されない聖域。覚悟を固めて、新天地でアーチを追う。【石田泰隆】

 [2010年12月28日11時29分

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