佑ちゃんに、頼もしいアドバイザーが登場した。前日本ハム監督で、今季から米ドジャースのベンチコーチに就任するトレイ・ヒルマン氏(47)が、ドラフト1位の早大・斎藤佑樹投手(22=早実)に成功哲学を伝授した。日本ハム監督時代にダルビッシュ有投手(24)、ロイヤルズ監督時代には09年にア・リーグのサイ・ヤング賞を受賞したザック・グリンキー(27=ブルワーズ)の両右腕を、日米を代表するチームのエースへ確立させた。洗練された経験値から、斎藤佑のルーキーイヤーのヒントを明かした。

 ヒルマン氏が、愛着のある日本ハムの注目ルーキーに大きな期待を寄せた。伝説として語り継がれる、早実対駒大苫小牧の06年夏の甲子園決勝が行われた当時は、日本ハム監督。応援していた駒大苫小牧を再試合の末に下した斎藤佑を鮮明に覚えていた。

 ヒルマン氏

 彼は高校でも、大学でも実績を残してきた選手。チームとしても早くから期待している選手でしょう。

 05年。当時、高卒新人でダルビッシュが入団。積極的かつ慎重な起用法で順調にステップアップさせた。07年には沢村賞を獲得する大黒柱へと成長させた。08年から指揮を執ったロ軍では、精神疾患などを抱えていたグリンキーがエースとして独り立ちする過程で、一役買った。09年に16勝を挙げてサイ・ヤング賞。若い才能を伸ばしてきた経験から、斎藤佑へ助言した。

 ヒルマン氏

 周囲はたまにものすごい才能を持っている選手を見ると、そこだけ見て忘れてしまいがちになるが、それではいけない。彼自身にも先輩のアドバイスを聞くことが必要。例えば、先輩のローテーション投手から他球団の打者の特徴を聞くとか、学習していく必要がある。ほかの投手とコミュニケーションをとることが大事になる。

 ダルビッシュの場合は、将来性を買って獲得した。斎藤佑は即戦力。置かれている立場は違うが、起用する側の梨田監督を含め、1年目からの成功のポイントはどこになるのか。

 ヒルマン氏

 ダルビッシュは高卒。斎藤佑は大卒で、ここが一番大きな違い。4年間、大学で野球をやってプロに入ってきているわけで、起用する側の監督のプレッシャーも大変なもの。そのプレッシャーに惑わされずに、正しい判断をした方がいい。

 日本ハムというチームに斎藤佑が戦力として適応する活路はどこにあるのか。役割を問わず、1軍に定着することを求めた。

 ヒルマン氏

 先発とかリリーフとかにこだわるのではなく、まず重要な要素としては、チームにとって彼がどこに適しているか。先発がいいのか、中継ぎがいいのか。それとも抑えがいいのか。その次に彼がどこに適しているのか。この2つの状況から判断すべきで、決めつける必要はない。【高山通史】

 [2011年1月5日10時52分

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