闘魂で完治ダァーッ!

 阪神ドラフト2位の一二三慎太投手(18=東海大相模)が11日、兵庫・西宮市の虎風荘に1人で入寮した。6日の予定日に溶連菌(ようれんきん)感染症で入寮を見送っていた。名前の縁から直筆の書を贈られたアントニオ猪木氏(67)も6日に胆石除去の緊急手術。病に打ち勝った一二三は“心の師”猪木氏の甲子園招待をぶちあげた。

 ひとりぼっちの入寮にも迷いはない。6日に溶連菌感染症と診断され、同期に後れを取ってしまった一二三は、立ちはだかるプロの壁にひるまず言った。

 「『迷わず行けよ

 行けば分かるさ』というフレーズがいいなと思います。壁があると思うけど、迷わず行こうと思います」

 寮に持ち込んだアントニオ猪木氏の名ゼリフ『道』の一節を心に刻んでいる。偶然にも、心の師もときを同じくして病と闘っていた。6日に胆石が見つかり内視鏡手術で除去。「暴れまくった胆石との時間無制限一本勝負の闘いに勝ってきました」と、気合で完治した。

 一二三は同期の入寮の話題など、自身を焦らせるニュースをシャットアウト。そのため師の手術の話題も耳にしていなかったが、不思議な縁を感じている。

 「何かありますね。自分からは(がんばれとか)言えないですけど。甲子園に招待?

 したいですね。始球式?

 してもらえたら、うれしいですね」

 まだ直接の対面はないが、間接的に気合を注入された師と聖地でコラボするプランにも前向きだ。帽子のツバに「気合」「闘魂」などのフレーズを書き入れることも検討中だ。

 実は、悲しい思い出が病気の早期発見に至らしめた。東海大相模の2年生の時。野球部の同級生が溶連菌に感染。だが、風邪だと思いこんで診断を怠ると、菌が腎臓にも転移し野球を辞めざるを得なかった。6日の診断で溶連菌検査の有無を問われると、迷わず検査を受けたという。

 「ショックだった」という悔しい思いは二度としない。病気予防のうがい薬を持参し、加湿器も購入した。体調も回復し、9日から15分間のランニングと30メートルダッシュを10本行っている。12日からの新人合同自主トレに準備はできている。気合で完治した一二三が、ようやくプロの道を歩き始める。

 [2011年1月12日11時13分

 紙面から]ソーシャルブックマーク