ハイペース調整で、めざすは200イニングだ!

 阪神能見篤史投手(31)が16日、沖縄・嘉手納町で自主トレを公開。関本らを相手に打撃投手を務め、この時期では異例の177球を投げ込んだ。2月1日のキャンプインまでに1000球以上を投げ込む計画。開幕投手の候補でもある左腕は、エースへの道を突っ走る!

 一定のリズムでボールを投げるのはマシンではない。能見が打撃投手として関本、小宮山相手に約1時間投げ続けた。ポーカーフェースの左腕にとっては、例年の調整法。だがこの時期、打者に対して投げること自体が異例。しかも、177球の投球ともなれば、まるでキャンプインしたかのようなハイピッチ調整だ。

 「毎年やっているけど、今年は寒いので、もうちょっとできるはず」

 実績ある投手の場合、一般的には1月中旬は走り込みやウエートで体作りに重点が置かれ、ボールを使う場合でもブルペン入りすることさえ珍しいと言える。だが能見は、現状に物足りなさを感じているというからさらに驚きだ。沖縄とはいえ、最高気温は12度。肌寒さの残る中でも、十分に肩を作り上げている。打席に立った関本も「速いよ。こんな時期に打ちたくないぐらい」とお手上げ状態だった。

 昨年は狩野と自主トレを行ったが、今年は投げる相手も2人になり、必然的に投球数も増えた。打撃練習がメニューに組み込まれた前日15日も130球を投げた。3勤1休で20日までは打撃投手を務める予定。1日150球で換算すると、嘉手納自主トレ終了までに750球を投げる。25日には先乗り組として沖縄合同自主トレに参加予定で、1000球以上投げてキャンプインする可能性も十分だ。

 「200イニング?

 それに近いぐらいは。できるだけ長いイニング投げて、それぐらいはというのはある」

 投球回に対するこだわりも、年々強くなっている。今季は久保とともに、開幕投手の有力候補。能見自身ローテーションの柱として責任を感じている証しだ。

 「リリーフ陣の登板数が多すぎる。今では普通になっているけど危険だと思う。これは良くない傾向。規定投球回は先発が投げていかないと」

 昨年、先発投手陣で規定投球回をクリアしたのは、久保(202回1/3)ただ1人。8勝0敗だった能見も右足甲の骨折で4カ月戦線離脱し、62回1/3と大きく届かなかった。シーズン終盤は、中継ぎでもフル回転したからこそ、実感がこもる。チームはもちろん、投手陣も救わなくてはならない立場となった。

 開幕へ、エースへ。頼れる左腕が、シーズンインを待ちわびている。

 [2011年1月17日11時17分

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