広島ドラフト4位の金丸将也投手(23=東海理化)が「黄金の心臓」で勝負する。新人合同自主トレを視察した松田元オーナー(59)から「左の永川みたい」と評価された左腕は、タフな精神力の持ち主だった。シドニー五輪柔道金メダリスト井上康生も師事したメンタルトレーナーに学んだ経験を生かし、金メダル級の活躍を目指す。

 187センチの長身から角度をつけて投じる。キャッチボールを行う金丸の姿を見て、松田オーナーが反応した。「不器用な子だけど、左の永川みたいなイメージだ」。全身から漂わせる雰囲気がそう言わせるのか。これを伝え聞いた新人左腕は神妙にうなずいた。

 金丸

 永川さんは常に抑えというポジション。アマチュアより、はるかに人数が多いところで長く投げています。メンタル的な部分もすごいなと思います。

 球団記録の164セーブを積み上げた永川勝は身近な手本だ。勝敗を決する場面で登板し、重圧に耐える精神力はプロで生き抜く上で欠かせない。金丸も宮崎・佐土原高時代から心の修行を重ねた。3年の甲子園出場時は00年シドニー五輪柔道金メダリストの井上康生にメンタルトレーニングを行った高妻容一氏(55=東海大教授)がチームに帯同し、難局での心の保ち方のレクチャーを受けた。

 金丸にとって印象に残っている同氏の言葉がある。「グラウンドに入れば、自分の落ち着ける場所を探しなさい。試合でピンチの時、困った時に、そういう場所を見るんだ」。広いグラウンドの1点を見つめれば集中力は増し、心の平静を保てるという。プロ野球、Jリーグなどで指導を行い、金メダリストも輩出したスポーツ心理学の第一人者の助言は貴重なヒントだ。

 金丸

 僕の場合(バックスクリーンの)真ん中の旗でした。自分の気持ちを落ち着かせるためにもいいですね。高校の時からやってきていることです。

 最速150キロを誇り、シュートなども投じる大型左腕には即戦力の期待がかかる。「社会人のときは中継ぎもしていました。とってもらった意味を考えないといけない。どこでも使ってもらえるようにやるだけです」。昨季まで慢性的に不足していた左腕の一員として自覚十分。くじけぬハートで投手陣の台所事情を明るく照らす。【酒井俊作】

 [2011年1月19日11時43分

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