日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)が、試運転で150キロをマークした。19日の紅白戦で1イニング限定の実戦初登板。1回2死三塁。紅組4番の中田が打席へ入ると、うなるように声を上げた。「おら、いくぞ!」。力強い挑発通り、初球に外角高めへ150キロの直球を投げ込んだ。5球連続速球でフルカウント。最後はど真ん中へのスライダーで見逃し三振を奪った。この日を含めて実戦4発の中田を、力で手玉に取った。「あいつのことを相手にしているより、自分の調整。この時期は(中田の調子が)毎年、いいじゃないですか。どこまでそれを持続するかが大事」と、苦言のような助言までする余裕を見せた。

 中田も白旗を上げた。「打席に立つのが怖かった。あんな速さは初めて見た。一流のレベルを思い知らされた」。直前の3番糸井は、内角低め速球に遊ゴロ。根元からバットをへし折られた。「見えなかった」。調整段階とはいえ、2年連続3割打者が軌道をとらえきれない。スピードとキレ、重厚感ある球質。別次元だった。

 昨季終了後に肉体改造に着手。昨年の同時期より約10キロ増、一時は体重100キロになるまで筋肉量を増やし、今キャンプに突入した。あとは排気量を高めた全身をどう駆使し、パフォーマンスへつなげるか。次回登板は24日の練習試合、韓国サムスン戦(名護)の予定。「どこまでいけるか、自分でも分からない。自分では見えないじゃないですか?」。誰も到達したことがない頂を目指す1年が始まった。【高山通史】

 [2011年2月20日12時28分

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