<オープン戦:日本ハム1-0巨人>◇6日◇札幌ドーム

 佑ちゃんが強力打線相手に“プロ初勝利”を挙げた。日本ハムのドラフト1位、斎藤佑樹投手(22=早大)が6日、オープン戦の巨人戦(札幌ドーム)で3回2安打無失点と好投した。3番手で6回から登板。9つのアウトのうち5つを内野ゴロで稼ぐなど、丁寧な投球で昨年のセ・リーグ2冠のラミレスら主力級を封じた。実戦で7回連続無失点。目標としていた開幕1軍は確定的で、先発ローテーション入りもほぼ手中に収めた。

 開幕ローテーション入りをグッとたぐり寄せる快投だった。投げる度に無数のフラッシュが光り、ファンが固唾(かたず)をのんで見守る奇妙な静けさ…。独特な雰囲気を醸し出した本拠地マウンドで、斎藤は巨人の強力打線を封じた。「多少長いイニングだったですけど、自分のピッチングが出来ました」。納得の無失点だった。

 斎藤の登板に合わせるかのように巨人は坂本、阿部ら主力を送り出した。変貌した打線に、変化球を本格解禁した2日のヤクルト戦では制球に苦心したスライダーが効果的だった。高橋の膝元で2度、空振りを奪った。ライアルからもオープン戦の初奪三振。「今日に関しては皆さん雰囲気があったので、最初から怖かった」という言葉とは裏腹に、昨季2冠のラミレスにも臆せず内角に直球系を投げ込んだ。

 注目された同世代の坂本との対決は、力が入った。試すことを優先してきたこれまでの実戦だったが、このときは抑えることしか頭になかった。だから、初球はフォークボールを選択した。「初球を振ってくるだろうなという感じもあったので」。2球目を中飛に打ち取ったが「ジャストミートされているので、今度は差し込めるようにしたい」と振り返った。

 オープン戦3度目の登板だったが、自身最多の3イニング、43球。9つのアウトのうち、5つを内野ゴロで稼ぐなど、勝負どころでの制球力もいい。梨田監督は「まだ評価できないけど、先発の方がいいんじゃないかと思う。走者を背負っていくより、きれいなマウンドが似合う気がする」と、あらためて先発起用をほのめかした。6人枠のローテーション入りはほぼ確実だ。

 沖縄・名護キャンプ中の2月中旬、山田GMと、早大の先輩で担当スカウトの大渕シニアディレクターに連れられ、名護市内の高級リゾートホテル内にある中華料理店で舌鼓をうった。ファンの注目を一身に浴び、人目を気にして行き詰まっていることを心配した2人の思いやりだった。実戦で通算7イニング、オープン戦で6イニング連続無失点。結果を残すことで周囲の配慮にも応えている。

 降板直後に味方が勝ち越し、「勝ち星」もついた。ここでも「持ってる」ことを証明したが、試合を締めた谷元から促されたウイニングボールの受け取りはやんわり断った。「ツーシームに頼りすぎました。本来ならもっと真っすぐを使わないといけない。もう1度見直したいです」。次回13日の横浜戦(横浜)では、いよいよプロ初先発する。生命線のストレートを再確認して、真っさらなマウンドへ立つ。【木下大輔】