シーズンへ視界良好だ。楽天田中将大投手(22)が5日、オリックスとの練習試合(京セラドーム大阪=特別ルールの10回制)に登板し、5回を3安打無失点と順調な仕上がりを見せた。2番手で6回からマウンドに上がり、3本の二塁打を許したものの得点は与えなかった。ここまでオープン戦を含む対外試合は計5試合、27イニングで自責0(失点3)。防御率0・00のまま「特別な1年」の開幕を迎える。田中の初戦は、15日のオリックス戦(甲子園)になる予定だ。
キングのバットをへし折った。9回2死走者なし。田中は、オリックスT-岡田の内角を140キロで突いた。鈍い音を鳴らせるドン詰まりの一ゴロ。昨季の本塁打王を力で制すと、特別ルールの10回は3者凡退。これ以上ない防御率0・00で開幕を迎えるが「今よくても意味はない。公式戦に入って勝つことが重要です」と意に介さなかった。
この時期「抑えた方がいい」と言いつつ、内容が大事と分かっている。だから、許した3安打すべてが二塁打だったことに「長打が多い。直球がかかっている感じがしなかった」と反省した。
7回、初対戦のヘスマンにその直球を打たれた。外角低め147キロと甘くなかったが、中堅右横を破られた。だが、そのままでは終わらせない。10回の先頭、再び対峙(たいじ)し今度は137キロスプリットで空振り三振。新たな決め球と位置付ける宝刀でやり返した。降板後は「悪いところは分かっている。修正出来ます。深刻ではありません」と冷静に分析した。
開幕を1週間後に控え、秘めた思いを明かした。大震災に遭った本拠地東北を思い、自ら「今年は特別な1年になる」と切り出した。遠征中に地震が起こり、試合相手を求め全国を転々とする日々を余儀なくされている。もう1カ月以上、仙台に戻っていない。ようやく明日7日、星野監督以下チームで帰る。
被災した人たちと交流するが、信念がある。「個人的に何が出来るか?」と聞かれ「個人ですることはありません。チームとしてバラバラにならないよう1つになって」と即答した。この日の試合後も選手全員で大阪市内の街頭に立った。田中も約30分、グラブを募金箱に持ち替えた。“チームで1つ”は野球にも通じる哲学。「みんなで同じ方向を向いて、1つになって勝ちを重ねていきたい」と強調した。
田中の投球に星野監督は、ひと言「普通やな」。信頼の裏返しだった。まずは15日、甲子園。そして、仙台開幕となる29日オリックス戦の先発も託す。託された田中は「仙台で試合が出来れば、より近くで僕らのプレーを感じてもらえる。微々たるものだけど、元気、勇気を与えることが出来れば」と願った。特別な1年に、ひたすら腕を振る準備を整えた。【古川真弥】



