虎のルーキーはスッゴいぞ!

 阪神ドラフト1位の榎田大樹投手(24=東京ガス)が5日、練習試合・巨人戦で長野、坂本ら6者連続で奪三振を記録した。7回から登板し、3イニングを完全投球。前回の対戦でもG打線を3回無失点。新Gキラーに名乗りを上げた左腕が、逆転で先発ローテ入りの可能性も出てきた。

 主役はルーキーだった。観客のいない相模原球場は、期待感に満ちあふれていた。榎田の連続三振はどこまで続くのか-。7回2死、1番長野から外角スクリューで空振り三振を奪い始まった記録。9回、最後のバッターは田中大。初球、真ん中のカーブをバットに当てられ二ゴロとなった。関係者しかいないスタジアムに、どこからともなくため息が漏れた。だがすぐに、肝っ玉ルーキーは6者連続三振の快投をナインからハイタッチでねぎらわれた。

 榎田

 三振は狙っていませんでした。たまたまです。この前は、阿部さんに高めのボールを打たれたので、しっかり低めに投げようと思っていました。

 偶然ではない。3月14日のオープン戦でも、G打線を3回2安打無失点と翻弄(ほんろう)した。この日は、3回を9人、43球で完全投球。大学時代に7者連続奪三振をマークしたことはあるが、プロでは別格。三振は、すべてカットとスクリューで奪い取った。

 巨人長野

 どのボールでもストライクを取れるピッチャーですね。

 巨人坂本

 スライダー(カット)も直球もキレがいいです。

 実戦8試合の防御率は驚異の0・43。注目は高まる一方でも、のぼせ上がることはない。登板後、関西へ戻る前のわずかな時間を利用し、東京ガスの練習場へ足を運んだ。「今年初めての関東遠征だったので。サプライズです」。プロ入りの礎を築いた場所へ「6者連続奪三振」を手土産に凱旋(がいせん)した。

 開幕ローテの可能性も再浮上してきた。現時点でローテは固まっているが、今日6日に登板する下柳は3月30日の練習試合・中日戦で5回4失点など確固たる結果はまだ出せていない。真弓監督も「(榎田は)先発じゃないか、と思っているよ」と含みを残しており、まだ逆転の余地もある。榎田は同29日の練習試合・中日戦では、急きょ先発し5回1安打無失点。先発の「ジョーカー」として、開幕2カード目の中日戦で登板することも可能だ。

 榎田

 (調子の)波はあるかもしれないけど、しっかり開幕1軍に残れるように準備をしたいです。

 注目されるほど燃えるという強心臓男。投げるほどに評価の株は、右肩上がりを描いていく。【鎌田真一郎】