<阪神4-3横浜>◇22日◇甲子園

 火の玉ストレートにシビれた~。虎の守護神の快投がサヨナラ劇を呼び込んだ。同点の9回、横浜の吉村から3者連続空振り三振、わずか10球の早業で斬った。こんな内容を見せられたら打線が燃えるのも当たり前か。今季10試合目で早くも6度目のマウンドに立った球児。今季初勝利のご褒美も当然です。

 要した球数はたった10球。ボール球は1つだけ。バットにかすらせることは1度もなかった。3者連続で空振り三振を奪う。これが猛虎の守護神だ。藤川球児投手(30)がサヨナラ勝利の立役者になった。

 「久々にパパパッ、と終われたので流れはいい。運良くアウトコースにいってくれた。しっかりゼロを並べて…、それしかできないんで」。

 7番からの打線とはいえ、こんな離れ業はめったに見られない。吉村は浮き上がる火の玉ストレートで、残り2人はフォークを鮮やかに落として空を切らせた。

 接戦の連続で、リリーフ陣の登板過多が目立つ。藤川も例外ではなく、開幕10試合で6度目のマウンド。それでも、使命感が疲れを忘れさせてくれる。

 「この2日間休んでいるんで、楽。シーズンの流れをつかんでいきたい。先行逃げ切りの状態にしたい。バッター陣ももっと余裕ができるしね。いい三振の取り方だった」。

 ブルペンが我慢すれば、いつか打線が爆発してくれる。3者連続空振り三振というバトンを渡して生まれたサヨナラ打。同時に今季初勝利のご褒美もあった。

 プロ13年目は、藤川にとって、新たな「変身」の1年になる。オフの過酷なトレーニングで体を鍛え上げ、速球派の宿命である選手寿命の短さと戦おうとしている。精神面でも、深みが増してきた。これまで、キャッチボールの相手は裏方が務めていた。相手のペースを乱したくないという心遣いからだが、今年はスタンリッジやブラゼル、小林宏らをパートナーにする光景が見られた。「キャッチボールは友達とするもんや」と照れくさそうに言う。優勝に必要なチームの「和」も意識した行動だろう。

 勝利のヒーローとなったこの日も、他のナインへの思いが先に言葉となって表れた。「僕らは最少失点で抑えることしかできない。4番の新井さんがずっと打ってくれると思うので。気持ちで打ったヒットだと思う」。

 8回に上位打線との対決でピンチをしのいだ小林宏にも感謝した。「あそこで耐えてくれて、7番からでラッキーだった」。リレーに例えると、守護神は最後のゴールテープを切る役割。藤川の仕事もそうだが、「つなぎ」の重要性も知っている。

 アクシデントがなければ、今日23日に国内FA権を取得する。今回の権利に藤川は関心を示さない。「もっともっと、チームのために責任をもってやっていきたい」。メジャー挑戦の夢はあるが、日本にいる限り、阪神ファンに安心を与え続ける存在だ。