<楽天3-4日本ハム>◇22日◇ほっともっと神戸
日本ハム陽岱鋼内野手(24)が値千金の一打で、チームを2年ぶりの単独首位に浮上させる5連勝へ導いた。楽天戦で9回2死一、二塁から田中の適時打で同点とした後、左前へ逆転タイムリー。今季から2番の定位置を確保した6年目のスター候補が、7試合連続となる安打で勝利をもたらした。星野楽天に逆境での強さを見せつけ、チームも勢いに乗ってきた。
ひそかな決意を刻んでいる頭を何度も下げ、はにかんだ。がけっぷちから救った陽岱鋼が「サイコーです!」と声を張り上げる大仕事を遂げた。1点を追う最終9回2死一、二塁。田中の適時打で振り出しに戻した直後、死闘を制した。楽天守護神スパイアーに、執念をぶつけた。12球目を詰まりながらも左前へと運んだ。過去4打席の大低迷を一振りで吹き飛ばした。
本音が出た。「勝って良かった…」。1回無死一塁で、送りバントを2球連続ファウルでミスして3球三振。野球人生で経験がない、4打席連続三振を喫した。絶体絶命の殊勲の最終打席は、バットを指2本分ほど短く持った。心を折らず、失敗を取り返すチャンスと向き合った。梨田監督が「すごい粘りだった」と絶賛する働き。単独首位へ浮上する5連勝へ導いた。
覚悟の1年。懸ける思いが局面で実った。一部で不評な長髪には、フォア・ザ・チームの忠誠心を隠している。両側頭部を刈り上げ、通常は髪で隠している。髪をかき上げると、左側に「F」、右側に「H」の切り込み。今季、本拠地と敵地用で分けている帽子の仕様と同じにした。球団名、北海道を表すアルファベットの2つの頭文字とともに-。献身さが重要な2番打者としての自覚を忘れないよう、今季に臨んでいる。
約束のオフも待つ。愛する台湾でモデルなどで活躍する宛容兒夫人は現在、妊娠4カ月。10月に第1子が誕生する予定だ。身重な体で日本と往復して支えてくれる愛妻と、新しい家族へ-。陽岱鋼は「すごく楽しみ。だから活躍しないといけない」と腹を決めた。スター候補と注目されてプロ6年目を迎えた今、ブレークへ本気だ。軽く見られがちな長髪のヒーローには、奮闘が必然な重い理由がある。【高山通史】



