<楽天4-3日本ハム>◇23日◇ほっともっと神戸

 楽天が今季初のサヨナラ勝ちで、「仙台凱旋(がいせん)マジック」を2とした。同点の9回裏、不振を極めていたランディー・ルイーズ内野手(33)が左中間席にサヨナラ本塁打を放り込み幕引き。9回を抑えたルーキー美馬学投手(24)がプロ初勝利を挙げ、一丸で連敗を止めた。チームは再び貯金1。星野仙一監督(64)が「必ず貯金をして仙台に帰る」と約束した4月29日の本拠地初戦まで、残り3戦2勝がノルマだ。

 はじけまくったサヨナラの輪が解けたころ、星野監督がぬらりとベンチから現れた。淡々と選手を迎え、大仕事のルイーズの右肩を軽くたたいた。選手に余韻を十分楽しませたが、最後までクールを貫いていた。

 最終回にまくられた前日の負けが悔しくて仕方がなかった。「もっとしつこくいかないと!

 オレに言わせるなよ!」。床に就くまで怒りは収まらず、沸点は就任以来MAXに到達していた。一夜明けると選手たちに闘争心が波及していた。同点の8回、2番手片山はピッチャー返しの打球に反応。着地したばかりの左足を出し止めた。その裏、先頭山崎は左中間深部への打球で三塁を狙った。ワンプレーごとに拍手が増え、最後は不振を極めたルイーズが、まったく打てなかったスライダーを仕留めた。

 監督からすれば、喜ぶのはまだまだ早かった。2月のキャンプから仙台を離れ、ようやく「わが家」に戻る日が見えてきた。試合前に「もうすぐ3カ月か」としんみり言った星野監督は、「我々にとっては『死のロード』じゃない。『復活ロード』にしなくちゃならないんだ」と続け、断固勝利を決め込んでいた。

 今3連戦中、ほっともっと神戸の電光掲示板には、白抜きで東北6県のシルエットが浮かんでいる。「ああやって見ると、東北って本当に広いな。大変な被害を受けてしまったんだ」と悲しい顔になった。楽天がやるべき最善を悟ったから、一時帰郷を終えて仙台を離れる8日、「必ず貯金をして、帰ってきます」と約束した。

 男に二言はない。サヨナラでの今季6勝目も、これまで同様、敗戦時より厳しく振り返った。「先発の八木を5回までにつぶさないと。タケシの走塁は自重しないと。アイツの足では無理。永井は2死から点を取られた。コーチ、バッテリーに注文しないと」とかぶとの緒をきつく締めた。「貯金して帰るんだから」と言い、浸ることなく明日を見た。【宮下敬至】