阪神は23日に国内FA権を取得した藤川球児投手(30)に対し、即日の電撃残留交渉を行った。具体的な条件提示はしなかったが、沼沢正二球団本部長(53)が「今後も残ってもらわなアカン」と強く慰留した。メジャー挑戦の夢を持つ藤川は「使うことはない」と話し、来季の残留は濃厚だ。
球団は異例のスピードで、残留交渉に乗り出した。室内練習場でトレーニングした藤川がクラブハウスに引き揚げる。汗を拭うと同時のタイミングで、沼沢球団本部長が声をかけた。セットアッパーや守護神として貢献してくれたことをねぎらい、続けて慰留の気持ちをストレートに伝えた。「今後も残ってもらわなアカン」。具体的な条件提示はなし。時間にして10分に満たなかったが、誠意の言葉を並べた。
今年初めての電撃アタックだった。藤川がポスティングシステムを利用してメジャー移籍を希望していた経緯もあり、球団首脳は契約更改など節目で残留を求めてきた。その流れを考えると、当然の行動と言える。沼沢球団本部長は「権利を取った選手には、すぐに声をかけてきた」と特別扱いではないことを強調したが、力の入れ方は明らかに違った。今後はシーズンに集中するため、交渉の話題は当面封印する。シーズン後半に代理人を通して、本格的な残留交渉を進める方向だ。
前日22日の横浜戦では、たった10球で3者連続の空振り三振を奪った。開幕から1勝3セーブを挙げ、「火の玉」と呼ばれる直球に磨きがかかっている。07年には46セーブでシーズン記録に並ぶなど、歴代9位の158セーブを数える守護神の評価は言うまでもない。沼沢球団本部長は「球界の宝でもある。大きすぎる存在。優勝には欠かせない戦力だし、おってもらわな困ります」と強い姿勢を見せた。
沼沢球団本部長は、今オフのポスティング移籍の可能性についても否定した。「こちらから積極的にポスティングという意思はない。もちろん、認めるつもりはない」。藤川は今回の権利については「使うことはない」と明言している。順当ならば、12年に取得する海外FA権の行使に注目が集まるが、来季の残留は濃厚となった。



