禁欲宣言で4番の重責を全うする。日本ハム中田翔内野手(22)が本塁打への欲求を封印し、打点への強いこだわりを見せた。7日は空路で北海道へ戻り静養した。本塁打は5月21日の巨人戦(札幌ドーム)を最後に出ていないが、今日8日からの中日2連戦(札幌ドーム)は、勝利につながる打点を追い求める。

 若き4番打者が求めるのは勝負強さだ。「ホームランを打てれば一番いいが、打てない時もある。チャンスで打てる打者の方がいい」。5日巨人戦(東京ドーム)では、4番を務めて9試合目でようやく初打点をマーク。豪快なアーチに目もくれず、チーム打撃に徹している。「もっと、もっとと欲を出しすぎるのも選手としてはダメだと思う」。本塁打より、リーグ7位、チームトップの29をマークする打点にこだわっていく。

 発奮材料もある。12日の横浜戦(札幌ドーム)では、地元小学生を約100人招待する。「たくさんのお子さん方が見に来てくれるからには、それに恥じないプレーをすることを約束します」。中田も少年時代の野球観戦で、プロ野球選手への憧れを強くした。今度は自分が夢を膨らませる番と、張り切っている。

 この日、羽田空港で搭乗を待つ間、現状を冷静に分析した。「自分みたいな若さで4番はなかなか経験できない。1打席を無駄にしないように」。両足を大きく開き、重心を低く保つ打撃フォームは、太ももやふくらはぎを開幕前と比べ太くさせた。体重も3キロ増量しパワーアップ。いずれ本塁打は出る。今は4番の仕事に徹する。【木下大輔】