<ロッテ2-5阪神>◇9日◇QVCマリン

 170センチの背番号50がとっても大きく見えました。今季からFAで加入した阪神藤井彰人捕手(34)が2回に虎での初タイムリー。勢いに乗って4回にもラッキーな適時打を放ち2安打2打点2四球と暴れ回った。城島健司捕手(35)がコンディション不良の中、3試合連続スタメンでチームに貢献。人懐っこい藤井スマイルが幸せを運んでくる。

 グラウンドでもスポットライトを浴びた。新加入の藤井が、交流戦初の連勝を呼び込んだ。1点を先制し、なおも2死二塁。成瀬の135キロの直球は、狙い通り外角低めへ。完全な決め球を、打率1割1分8厘だった男のバットがとらえた。走者金本が、三塁手前でつまずきそうになりながら一気にホームへ。クロスプレーをかいくぐり、藤井に移籍後初打点がついた。

 「応援してもらっているのに打てなくて、迷惑をかけていたので…。うれしいです」。

 笑顔がトレードマークのベテランが、ヒーローインタビューで神妙に喜びを語った。話題が2打席目に及ぶと、照れながらも笑みが戻った。

 「『やってもうた』と思ったんですけど、落ちてくれて良かったです」。

 4回1死一、三塁で右方向への飛球を、右翼手伊志嶺が判断ミス。打球は手前に落ち、大きく跳ねた。難敵成瀬攻略に貢献。ベンチでは手荒い祝福を受け「(二塁走者)金本さんが打って走ってと、僕はそのおこぼれです。みんなにえらい喜んでもらいました。プロ初タイムリーかのようでした」と振り返った。愛されるが故に、タッチにも手加減がなかった。

 昨オフ、FAで移籍してきたがチームに溶け込むのは早かった。春季キャンプのブルペンでは、持ち前のキャッチングのうまさが光った。投手陣からも絶賛の声が聞かれたが、それだけが理由ではない。人の懐に入り込む能力にたけているからだ。

 長期遠征中のカバンの中には、DVDを忍ばせている。内容は撮りためてある、テレビ番組の数々。その中で、真っ先に鑑賞するのが、明石家さんまが出演している番組だ。

 「あの人は本当にすごいでしょ。そう思わない?

 勉強になるよ」。

 気分転換の意味合いも、もちろんあるが、並行してトークのスキルアップにも努めている。会話のネタを仕込み「次の日、みんながどんなリアクションをするのか見るのが楽しみ」と笑う。藤井の周りには、いつも自然と人だかりが出来る。ベテランからはいじられ、若手選手も「藤井さんの話には、絶対オチがあって面白い」と評判。ベンチでは“師匠”さながらの「滑らない話」で活躍してきたが、ついに「本業」でも日の目を見た。

 「ピッチャーも頑張ったので、次につながる。これからもっと頑張っていきます」。

 城島のコンディションは万全ではない。だが、もう1人のFA捕手は、いつでも準備は万端でいる。【鎌田真一郎】