<ソフトバンク1-3日本ハム>◇24日◇福岡ヤフードーム

 日本ハムに敗れたソフトバンクで、今季初スタメンのスラッガーが待望アーチを放った。プロ7年目の江川智晃外野手(24)が、本拠初本塁打だ。4年ぶりのプロ2本目。同い年の日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)に浴びせたアーチは、主力野手に故障が相次ぐホークスに光を差し込む1発となった。

 江川が必死にくらいついた。5回の第2打席。外角変化球だった。前のめりになりながらスイング。打った球種も分からなければ、アーチの確信などなかった。懸命に走った。待望の瞬間は、大歓声で気づいた。07年以来のプロ2号は、本拠福岡ヤフードームでの初本塁打となった。

 江川

 打ったのはフォーク?

 ですかね?

 打席に入ったときも、打った瞬間も無我夢中で。何を打ったか、よく分かりません。

 抜てきにこたえた。2軍で打率3割1分8厘、4本塁打と結果を残し、今月上旬に1軍昇格。多村が左手小指裂傷、オーティズは左脇腹痛。内川まで右太もも裏肉離れで戦線離脱。主力野手の故障が続き、今季初スタメンが回ってきた。プロ7年目。若手と呼ぶには少しばかり時間が過ぎたが、球界を代表する同い年右腕の言葉が、秘める能力の高さを物語っていた。

 ダルビッシュ

 あそこの球をライトに本塁打されるのだから僕の負け。(ベンチで)1打席目のスイングがすごかったと大野と話していて、まさか打たれるとは思わなかった。

 04年度ドラフト1位。同期には、この日の相手だった日本ハム・ダルビッシュや西武涌井がいる。昨年まで通算47試合出場。背番号は8から43に変わった。将来を嘱望され続けたが、いつの間にか同い年の成長株たちと天と地ほどの差が開いた。昨季は地獄を見た。8月12日のオリックス戦。延長12回に代走で出塁し、まさかのけん制死。自らのボーンヘッドで試合終了。悔しさを忘れなかった。オフには毎日欠かさず、筋力トレ。流した汗は裏切らなかった。

 今季に入って球団には、1発を打てる力に複数チームからトレードのオファーが届いていた。だが、球団は決して手放さなかった。多村が満身創痍(そうい)、内川も右足に不安を抱えてプレーしていた。今回のような故障者続出ケースを想定してのことだった。

 チームは勝てず、祝砲とはならなかった。だが、江川の描いた放物線の意味は、決して小さくはない。【松井周治】