<広島3-7ヤクルト>◇3日◇マツダスタジアム

 勝ちに不思議の勝ちあり-。ヤクルトが黄金時代に指揮を執った野村元監督(現楽天名誉監督)の名言そのままに、リーグ30勝一番乗りを果たした。7点を奪いながら適時打は2回の青木宣親外野手(29)の二塁内野安打1本。広島の勢いに押され気味だったが、終わってみれば勝っていた。

 ヒーローなき勝利だった。2回無死満塁のチャンスに青木の当たりは二塁へのゴロとなった。俊足を飛ばしても際どいタイミング。しかも、ベースに入った栗原と激突しそうになり、回避するために足から滑り込んだ。その瞬間、ベース上で左足首がぐにゃりと曲がった。判定はセーフ。捻挫と引き換えに奪った適時打だった。

 しかし、終わってみればこの日の適時打はこの1本だけ。先制点は遊ゴロで奪った。2回には押し出しで2点をもらい、併殺崩れの間にも1点を取った。9回、ダメ押しの2点も遊ゴロと右犠飛で奪ったもの。途中交代し、左足をアイシングしていた青木は「ヒーローインタビューを頼むかもと言われました。こんな状況なのでできませんでしたが」と、左足を引きずりながら苦笑いした。

 代わりにお立ち台に立った増渕は5回3失点の自分の投球内容に納得がいかず「全然ダメでした。次はしっかり投げられるように頑張りたい」と反省するばかり。なんとも不思議なリーグ30勝一番乗りとなってしまった。

 だが、裏を返せば、適時打が1本でも勝てるのがヤクルトの快進撃の要因だ。チームリーダーの宮本は「2年前にCSに行った時は勢いだけだった。今年は全然違う。ちゃんと野球をしている。先発が踏ん張って、野手がなんとか援護して」と手ごたえを口にした。内野ゴロや犠飛も立派な得点手段。チーム打撃の証しでもある。

 90年代の全盛期、リーグ30勝一番乗りを果たした年は、91年を除き優勝した。小川監督は「それは全部過去のことですから」と冷静に受け止めながら「もちろん前例に続くつもりではいます。目指すところはそこですから」と力強く言い切った。快勝だけが野球ではない。不思議な勝ちが増えるほど、目指すところは近づいてくる。【竹内智信】