<横浜9-12阪神>◇17日◇横浜
やられたらやり返す。阪神がハマの夜空に今季最多5発の花火を打ち上げた。主役は4番新井貴浩内野手(34)。6点を逆転される大乱戦で主砲が燃えた。7回に同点8号ソロ、さらに8回はドドーンと阪神移籍後初の満塁弾。猛虎打線の中心が5打点を挙げ横浜に勝ち越し。2位中日に0・5差と大接近し、前半戦2位での貯金ターンも見えてきた。
瞬間、右手を突き上げた。打球の到達点は知っていたが、それでも会心のドヤ顔で放物線をにらみつけ、右のこぶしを強く握った。これが4番の仕事だ。
8回。3連打で1死満塁の大チャンス。「絶対に走者をかえすつもりだった」。新井は牛田の高めに浮いたフォークをしばき上げた。めまぐるしく動いたスコアボードに、勝利を決める「4」をともした。阪神移籍後初の9号グランドスラム。1試合2発も虎では初だった。
2度目の大仕事だった。前の打席で、最悪の展開から“蘇生”を果たす同点弾を打っていた。「気合を入れ直して打席に入った。何点あっても取れるときに取らないと。能見はいつもいい投球をしてくれているが、こんなときもある」。4回1死満塁で併殺打に倒れた4番は燃えていた。
4回までに6点を奪う圧勝モード。だが能見が突然崩れ、5回に3失点。6回も修正できず、代わった榎田も打ち込まれて6-7と大逆転された。前半戦はこの試合を含めて4試合。借金は3。全勝しないと貯金ターンはかなわない。その望みが屈辱の逆転負けで絶たれてしまうのか…。
再び希望を照らしたのが新井のバットだった。直後の7回、先頭で左中間席にソロをかっ飛ばした。1死後、関本の1号ソロで勝ち越し。ノリノリで迎えた8回にトドメの4点だ。
大不振に陥り、7日の中日戦から7試合、4番を外され6番に降格した。首脳陣と本人の連日のフォーム修正により復調し、打順が「定位置」に戻ったのは前日16日から。いきなり3安打1打点と爆発した。そしてこの日の活躍だ。
15日に広島で同期入団の広島井生がプロ初アーチを含む大活躍。翌朝、新聞を読み込んだ。4歳下の努力家の苦労を思い、感動した。「あいつは真面目でコツコツやってきた。報われたね。本当にうれしい」。自分も広島、阪神で4番を務めるようになるまで苦労の連続。当時の苦しみを思い起こし発奮材料とした。
阪神移籍4年目。この日の1本目が阪神での通算50号だった。今季両リーグ最長の4時間16分を制した真弓監督も、主砲の今季初の2発を喜んだ。「大きいね。逆転されて再逆転したのは今年初めてじゃないかな」。
2位中日が6連敗し、0・5ゲーム差と肉薄。猛虎は完全に目覚めた。前日に続く猛打で、12得点、18安打はともに今季最多だ。新井はヒーローインタビューで叫んだ。「まだまだ、どんどん打っていきたい。もちろん3つ全部勝つつもりです」。今日18日からの広島戦が最終カード。誓った約束を果たす自信は全身にみなぎっている。【柏原誠】



