<中日1-1ヤクルト>◇3日◇ナゴヤドーム

 中日が執念の継投でヤクルト戦を引き分けに持ち込み、自力V消滅の危機をしのいだ。1-1の9回に浅尾拓也投手(26)、延長10回2死から守護神岩瀬仁紀投手(36)を投入し、無失点で切り抜けた。今日4日も引き分けか敗れれば自力Vが消滅するが、一丸で踏みとどまるしかない。

 何とか連敗を止めた。自力V消滅の危機も逃れた。オレ流が終盤の勝負手である浅尾、岩瀬の絶対的なカードをつぎ込む執念継投。延長10回、3時間44分のしのぎ合いで踏ん張り、4連敗を免れた。

 ベンチは継投にメッセージを込めた。先発チェン・ウェイン投手(26)が8回1失点の粘投。打線の援護なく1-1のまま終盤に突入すると、9回は当然のように浅尾がマウンドへ。3連投となる絶対的セットアッパーは両リーグ最多タイ44試合目の登板だ。昨季打ち立てた球団記録の72試合登板を上回るハイペース。“酷使”ともいえる状況だが「今日はストレートも走っていた」と4番畠山から三者凡退で片付け、流れを作った。

 10回は3番手河原が27試合目の登板。「浅尾(の登板数)にくらべたら大したことはない」と2死を取る。安打を浴びたところで岩瀬を投入した。

 この場面は、落合博満監督(57)が珍しくマウンドまで向かい、じっくり話し合ってから交代が告げられた。この時点で今季の規定の3時間30分まであと10分。うまく時間をかせぎ、延長11回突入を事実上なくし、勝つか引き分けるかしかない状況にしたかに見えた。この“戦略”の後に岩瀬登場。セーブがつく場面ではなかったが「準備はしていた。厳しい場面だったけど、とにかく(どんな状況でも)やっていくしかないんで」。1番青木を遊ゴロに打ち取り、無失点で切り抜けた。

 負ければ8年目を迎える落合政権下では2番目に早い80試合目で自力Vが消滅していた。今日4日も自力V消滅の可能性はあるが、1度はピンチをしのいだ。

 ただ、巻き返しには打線の“目覚め”が必要だ。サヨナラ勝ちを逃した9回裏もヤクルトの守護神林昌勇から無死一、二塁の絶好機をつくったが、4番森野が最初の2球は送りバントの構えをしながら、最後はヒッティングに出て最悪の併殺打。和田が歩いたが6番中田亮が空振り三振。ナゴヤドームはため息が充満した。このため息を、歓声に変えなければ、逆転Vなどない。打線が目覚めなければ、自力V消滅は時間の問題だ。【八反誠】