<中日6-2ヤクルト>◇23日◇ナゴヤドーム

 ヤクルトには、まさかの1失点だった。同点に追いついた直後の8回裏2死二塁、前進守備だった中堅青木宣親外野手(29)の前にライナーが飛んだ。懸命のバックホームは、左にそれる。間一髪で二塁走者の荒木がホームに滑り込んだ。手痛い決勝点を与えてしまった瞬間だった。

 与えるはずのない1点だった。状況を考えれば、外野手の前に飛んだ打球でのホームインは許されない。青木は「刺せなかったのが悔やまれます。準備は出来ていたけど、結果的にそれてしまった。あれが勝敗を分けてしまった」と険しい表情で振り返った。飯田外野守備走塁コーチは「ダメでしょう。両手で捕りにいってんだもん。走者は(足の速い)荒木で、ギャンブルで走ってんだから。捕ってから、アッ、走った、投げた、としか見えない。準備していたのなら技術不足」と厳しく言い放った。

 前日の試合でも、記録に残らないミスがあった。一塁走者をかえしてはいけない状況で左中間を割られ、決勝点が入っていた。その時も打球を処理したのは、中堅の青木だった。その直後にも刺さなければいけない左前安打を左翼手武内が適時打にしていた。試合前の練習では飯田コーチが外野手を集め「やることやって失敗したら仕方ない。でも、やることやらずに失敗し、すいませんじゃない」と説教したばかりだった。

 片手でスムーズに捕れていれば…。送球がそれていなければ…。青木だけでなく、投手の久古が、1度でも二塁へけん制球をしていれば…。試合の結果は分からないが、8回の4失点は防げたはず。2日続きの“ミス”が、重い黒星を運んできてしまった。【小島信行】