巨人へトレード移籍したサブローこと、大村三郎外野手(35)を呼び戻したい?

 ロッテ重光昭夫オーナー代行(56)が2日、最下位に沈むチーム立て直しへの方針を明かした。最近の編成方針への不満をぶちまけた上で、進行中の来季組閣の差し戻しや、流出した生え抜き選手の再獲得の意向を示した。球団はこの日、瀬戸山隆三球団社長(58)と石川晃運営本部長(50)の退任に伴う新人事を発表。21日付でロッテ本社の中村家国顧問(66)が新社長、球団事業本部の林信平総務部長(50)が運営本部長に就任する。

 重光オーナー代行から、思わぬ爆弾発言が飛び出した。新フロント人事の発表会見のはずが、チーム状況や来季に向けての独演会へと変わった。「去年の優勝した選手たちがほとんどいない。これは異常な事態だと思う。今年出ていった選手でも、呼び戻せる選手がいれば呼び戻したい」。具体的な選手名は「タンパリングになりますから。ノーコメント」と無言を決め込んだ。

 ただ、今季の戦いについて「チームの成績は、特にサブロー選手が出たあたりから悪くなった」と分析。さらにサブローのトレードに「編成の強い希望があった。2、3回は(話を)戻したが、今思うと自分の間違いだった」などと、放出に対する後悔の念を繰り返した。「呼び戻したい」という発言が、シーズン中に巨人へトレードされたサブローを念頭に置いているのは明確だった。

 進行中のチーム人事についても「白紙」を強調した。金森打撃コーチの今季限りでの退団など、退任する瀬戸山球団社長や石川球団運営本部長が進めていた来季の人事構想もオーナー裁定で差し戻した。「(退団と)新聞に名前の載っていた方に対しては(白紙の考えを)伝えました」。

 重光オーナー代行はこれまで、表だって具体的な編成方針への発言はしてこなかった。中村新社長、林新本部長は瀬戸山社長、石川本部長とは違い、球団経営のプロフェッショナルではない。新体制発足と同時に代行が補強や組閣などに言及したのは、今後は球団主導ではなく、代行を中心とした本社主導で改革を進めていく意思表示でもある。

 過去にはバレンタイン監督解任問題があり、今季もフロント首脳がシーズン終了を待たずに今季限りでの辞任を発表。本社が菓子メーカーというイメージ重視の企業でありながら、球団には「ゴタゴタ」のイメージがつきまとってきた。これ以上の悪化を防ぐためにも、代行の直接出馬によって「改革の意志」を示す必要に迫られていた。サブローのトレード問題も旧フロントに一方的に責任を押しつけるのではなく「間違いだった」と自らのミスを認めることで、批判も軽減できる。感情的に思える重光オーナー代行の発言は、今後へのさまざまな布石が隠されている。【鈴木良一】

 ◆重光昭夫(しげみつ・あきお)1955年(昭30)2月14日、東京都生まれ。青学大出身。野村証券を経て88年にロッテ入社。本社取締役と兼務しながら91年1月、球団社長代行に就任。その年、川崎から千葉への本拠地移転に尽力した。ロッテ創業者の父武雄氏(88)が球団買収時の71年からオーナー職にあるが、昭夫氏が91年オフにオーナー代行に昇格してからは、実質的な球団運営を任されている。今年2月に韓国ロッテグループ会長に就任。