<ソフトバンク5-0オリックス>◇8日◇福岡ヤフードーム

 迷いはなかった。ソフトバンク杉内俊哉投手(30)は6回を投げ終え、表情を変えずにベンチへ引き揚げると「もういいです」と降板を申し出た。4回2死から7者連続で三振を奪った直後。この時点でも無安打無得点を継続中だった。優勝決定後の福岡凱旋(がいせん)試合に花を添える快記録へ、ムードも高まっていたが、7回のマウンドには2番手森福が立っていた。

 自身初の4連敗を喫し、左肩には違和感を覚えた。チームが連覇へ進む中、2軍で調整。9月9日ロッテ戦以来の復帰戦だが、無理して再発しては意味がない。予定の100球を下回る80球ながら「いいところで終わろうと。僕から言いましたよ。CSに向けて残り2度、投げるチャンスがあるからね。故障明けで無理する必要もなかった」と、あと2個だった9者連続奪三振の日本記録への未練もなかった。

 1回は2番大引に四球を与えるなど、制球が定まらなかった。直球は135キロ前後。だが「チームが勝って、オレだけが負けるのもしゃくだった。自分のスタイルは追い込んだら三振を狙う。今はノーヒットノーランをすることより大事なことがある」と気持ちで投げた。

 秋山監督は「杉内はいい投球だったね。(連続奪三振記録は)そういうのあったの」と、ひょうひょうと話した。頼れる男の復活は、チームにとって何よりの朗報だ。あくまで目標はCS突破、そして日本一。記録より栄冠-。手に入れたいものをつかむまで、杉内は妥協しない。【奈島宏樹】