<日本ハム3-0西武>◇11日◇札幌ドーム

 「400勝投手」そして「神様

 仏様

 稲尾様」超えが確実だ。日本ハム・ダルビッシュ有投手(25)が西武打線を散発3安打、今季6度目の完封勝利でハーラートップタイの18勝目を挙げた。最終回に155キロを計測するなど速球主体で、自己最多タイとなる15奪三振は今季3度目。4年連続で並んでいた金田、稲尾を超え、2リーグ制後最長の5年連続防御率1点台も決定的となった。チームは3位以上が確定し、2年ぶりCS進出が決まった。

 後世に語り継がれる「平成の大投手」の座を、確実にした。ダルビッシュが強い執念で積み上げた130球目。中村を外角スライダーで空振り三振に切った。本塁打キングからこの日3個目、計15奪三振の完封を飾るフィナーレ。「(西武は)セコいマネをしてこないので気持ち良く、楽しかった」。言葉は少し乱暴だが、真っ向勝負を堪能し、勝った。

 リーグトップとなる今季6度目のシャットアウト劇。防御率1・44。今季は残り1試合に先発予定で、大乱調さえなければ、2リーグ制後初、前人未到の5年連続での達成が確実な状況になった。防御率は、こだわりを持つ部門の1つ。楽天田中とマッチレースのハーラートップタイ18勝目にも「勝ち星というのは条件が重ならないと付かない場合もある。だからそんなに言うほど、気にしていないんですよ」と持論は変わることはなかった。

 4月12日西武との開幕戦で7回、プロワースト7失点の記録的な大敗を喫した。外角一辺倒に偏った配球が、強力打線に屈した要因。その後は対戦機会がないまま、今回が今季2度目だった。「ずっと投げたいという気持ちはあったけれど、投げられなかった。最後に投げられて幸せ」。

 切望していたマウンドではじけた。あえて外角中心の配球で力勝負した。厚沢スコアラーは「もっと簡単に抑えようと思えば、抑えられたはず」と指摘する。捕手もその時と同じ大野。最速155キロの速球主体で胸を突き合わせた。「前回は外角ばかりで踏み込まれていたけれど、やり返したかった。ちょっとスッキリした」と、憎らしいほどの報復劇を完遂した。

 ウイニングショットにスライダーで意表を突いた中村と試合後、球場内の通路でニアミス。「ナイスボール!」と声を掛けられると陳謝した。「最後、すみませんでした」。本音でペコリと頭を下げる品格も、25歳で手にした大投手の称号にふさわしかった。【高山通史】