竜の大黒柱が先陣を切る。中日吉見一起投手(27)がCSファイナルステージの初戦で先発することが濃厚になった。1日、ナゴヤドームの練習に参加。前日と同じようにネルソン、チェンらとピッタリと並んでダッシュメニューを消化した。先発候補が同じメニューをこなす竜お得意の幻惑作戦。ただ、吉見の緊張感は他の投手と比べても特別だった。

 「今日はいいですか?

 勘弁してください」

 練習終了から約2時間。体のケアにたっぷり時間をかけて球場を後にした右腕は、報道陣を振り切り足早に車に乗り込んだ。いつもの笑顔はまったくない。普段は足を止めて丁寧に質問に答えるが、この日ばかりはさすがに違った。

 ツバメキラーの初戦起用は当然の結論だろう。今季はオフの右肘手術の影響で出遅れはしたが、18勝を挙げて防御率1・65。2冠に輝いた。特に対ヤクルトは6試合に登板して4勝負けなし、防御率1・22とその強さは際立っていた。

 最後の“とりで”になる可能性もある。もし6戦目までもつれることがあれば、中4日で先発する可能性がある。吉見はこれまでにも「自分になれば、先が見えているわけだから、もちろん行きます」と今季自身初となる中4日での登板にも意欲的に話しており、初戦を任される意味は十分に理解している。

 巨人を2勝1敗で振り切り、波に乗って名古屋に乗り込んでくるツバメ軍団。その勢いを止めるのは吉見が適任だろう。【桝井聡】