中日落合博満監督(57)が14日、ナゴヤドームの全体練習で荒木雅博内野手(34)に打撃指導を行った。ここまで選手を見守る姿勢を貫いていた指揮官が「静」から「動」に転じた。

 グラウンドに緊張が走った。「おいっ」。本拠地での練習中、フリー打撃を見守っていた落合監督が突然立ち上がり、ケージの裏に歩み寄った。声をかけた相手は荒木だった。

 福岡での2試合では7打席連続で無安打が続いたが前日、第2戦の第4打席から2打席連続でヒットを放った。会心の打球ではなかったが、ようやく結果が出た。そんな荒木に身ぶり、手ぶりで指導した。今シリーズで指揮官が、選手に直接指導するのは初めてだ。

 荒木は「う~ん…。そうですね。簡単に言うと前で打てということ。体から手を離せということかな」と説明した。ペナントレースでは10ゲーム差逆転優勝を支えた切り込み隊長も、クライマックスシリーズでは2割3分8厘と沈黙。日本シリーズでも2試合目の4打席目まで無安打で、比例するように得点力が低下した。前日の第2戦、延長10回の決勝点は荒木の内野安打が分岐点だった。

 今日15日の第3戦からの3試合で2勝すれば、ナゴヤドームで胴上げとなる。今季終了後に退任する指揮官は、花道を一気に駆け抜ける。【鈴木忠平】