阪神新井貴浩内野手(34)が22日、FA宣言した上で残留することを表明した。3年契約で出来高払いを含め総額9億円。07年オフの入団時に結んだ4年総額10億円(出来高含む)からの増額となった。今後、交渉の予定はない。

 この日朝、甲子園のクラブハウスを訪れ、沼沢球団本部長に「お世話になります」と残留の意思を伝えた。「和田監督にかけてもらった言葉、球団との交渉の中での話にとても熱意を感じましたので、決めさせてもらいました」と明るい表情で話した。

 4日の交渉で態度を保留。自身2度目のFA権取得を野球人生の大きな節目ととらえ、「すべて白紙」と選択肢を広げて熟考していた。和田監督から「頼む。信じている。優勝するぞ」と伝えられ、南球団社長からも強い慰留を受けたことで心を決めた。

 昨年途中から故障の金本に代わって4番に座った。労組プロ野球選手会の会長として開幕延期問題に取り組みながら、重圧の多い人気球団の主砲を務め、93打点で初の打点王に。沼沢本部長は「こんなにうれしいことはない。4番なんだから」と喜んだ。

 「自分の気持ちが決まったのでスッキリしました。今度は僕が監督や球団の期待に応える番。まずは来季優勝するために頑張ります」。広島から阪神に移って来季が5年目。円熟期を迎える34歳が、これからも猛虎打線の中心にどっかりと座る。