次は五十嵐-。阪神が、メッツからFAになった五十嵐亮太投手(32)の獲得に向けて越年覚悟で準備することが28日、分かった。FA権保有者との交渉が一段落したことを受けて、戦力アップに向けて五十嵐に照準。米国志向がある右腕のために支配下登録枠をひとつ空けて、日本復帰決断時の受け皿になる構えだ。

 阪神が、さらなる戦力アップに動きだす。鳥谷と福原の残留が決まったことを受け、次のステップに向かうことを球団首脳が明言した。

 「現有戦力の引き留めが第1だったから、これからスタート。(補強の)終了は宣言していないので」

 このオフ、補強候補の筆頭はメジャーリーガー五十嵐だ。和田監督は今季セットアッパーを務めた小林宏を先発に配置転換することを決定。さらに榎田も中継ぎ、先発と両にらみの状態となっている。不動の守護神藤川につなぐ中継ぎ投手が強化ポイントに挙がっている。

 今季の五十嵐はメッツで45試合に登板して4勝1敗、防御率4・66。メッツとの来季契約が合意に達せずに、FAとなった。現在はドミニカ共和国ウインターリーグのデルシバオでプレー。10試合に登板し0勝0敗3セーブ、防御率3・72の数字を残している。メジャースカウトの目に留まりやすい同リーグで、実力をアピールしている最中だ。

 阪神では本人の米国志向を尊重して、じっくりと待つ構えだ。その戦略が「コバヒロ方式」といえる、早期決着にこだわらない方針だ。現在の支配下登録選手は68人で、2つの枠が空いている。そのひとつを「五十嵐枠」として準備する。

 阪神は昨オフ、メジャー志向を表明しながらロッテからFAした小林宏を獲得するために、本人が米国のオファーを吟味する間、枠を空けて待っていた。春季キャンプ直前の1月20日に、獲得に成功している。五十嵐に対しても越年も辞さない構えで、誠意を示していく。五十嵐が日本復帰を選択した場合はその「受け皿」として、速やかに獲得作業に入っていく算段をしている。

 ヤクルトで快速セットアッパーとしてならし、メッツでの2年間で通算79試合に登板した豪腕がチームに加われば、戦力アップは間違いない。阪神が持久戦という名の誠意で、五十嵐の獲得を狙う。

 ◆五十嵐亮太(いがらし・りょうた)1979年(昭54)5月28日、千葉県生まれ。敬愛学園から97年ドラフト2位でヤクルト入団。04年6月3日の阪神戦で当時日本最速の158キロを記録。04年は42セーブポイント(5勝、37セーブ)で最優秀救援のタイトル獲得。09年オフにFA権を行使しメッツ移籍。再契約交渉がまとまらず、今年10月にFAとなった。180センチ、90キロ。右投げ右打ち。