プロ野球の臨時実行委員会とオーナー会議が1日、都内で行われ、TBSホールディングス(TBSHD)からディー・エヌ・エー(DeNA)への横浜球団譲渡が正式に承認された。オーナーに就任する同社の春田真会長(42)は会見で、来季最下位脱出、5年以内のVなどを“厳命”。そのためには積極的に戦力補強することも明言した。今日2日には早速、FA宣言した主砲村田修一内野手(30)を直接慰留。さらに、ソフトバンクのD・J・ホールトン投手(32)の獲得に乗り出す可能性も出てきた。

 11月4日の加盟申請から約1カ月。正式に球界参入が決まった春田会長は、「正直申し上げると長かったなという印象。安堵(あんど)とともに、球団を持つ重み、責任が今までよりどんどん増していく気持ちがあります」と、笑みを浮かべ、言葉に力を込めた。

 喜びとともに感じた責任感。「願望でもいいですか?」と前置きしながらも、4年連続最下位と低迷するチームの新たなオーナーとして、大きな目標を掲げた。

 春田会長

 来季の目標はまず、最下位を抜け出してくれということ。そして3年以内にCS(クライマックスシリーズ)進出、5年以内に優勝してくれということを(GMには)申し上げたいと思う。

 GMには高田繁氏(66)の就任が濃厚。現場を束ねる新監督には工藤公康投手(48)の就任が決定的だ。春田会長は「今日の夜からしっかり動いて、チーム作りを進めたい」と、今週中にも正式要請、来週にも就任発表と進めたい考えだ。

 要求するだけでなく、オーナー会社として最大限のバックアップをする。「最下位が現状の戦力では、十分でないと思う。お金をかけないとダメなところもある。人だけじゃなく、球団のインフラにも投資は必要。現状が正しいと思っていないので、必要な投資はある」と、補強に必要となる投資は惜しまない考えを明かした。

 その第1歩として、巨人を退団したラミレスの獲得に動く。新チームの顔として早くから関心を示していたが、今日2日にも交渉に乗り出し、2年契約の年俸4億円を提示する見込み。ラミレス側も新しいチームでのプレーを求め、複数年契約を希望していることから、合意は確実だ。

 そして、今季12球団最低の防御率を残した投手陣の立て直しに、今季19勝で、パ最多勝に輝いたソフトバンク・ホールトンの獲得にも乗り出す。最大のウイークポイントである先発陣。今シーズンチーム最多の勝ち星は、高崎、三浦が挙げたわずか5勝。白星が計算出来る投手の獲得は、春田会長が掲げた目標達成にむけて、必須事項となる。保留者名簿から外れる今日2日の交渉解禁から、アタックをかける可能性もある。

 巨人入りが確実視されている杉内争奪戦にも加わる見込みで、ホールトンとともに獲得できれば、左右の柱も確立できる。FA宣言した村田も、今日2日に春田会長が直接交渉し、慰留に努める。ソフトバンク2投手、そして村田はいずれも巨人が獲得に動くが、新参球団として、遠慮するつもりはない。新生DeNAベイスターズの“初戦”は、伝統の球団とのガチンコ勝負となりそうだ。【佐竹実】

 ◆球団譲渡からリーグ優勝までの年数

 05年に参入したソフトバンクの1年目は勝率6割6分4厘でレギュラーシーズン1位も、プレーオフでロッテに敗れ2位。10年のリーグ優勝まで6年かかった。79年参入の西武は1年目こそ勝率3割8分1厘で最下位に終わったが、2年目からは4位→4位→1位と、広岡監督が就任した82年に4年目で優勝した。