プロ野球セ、パ両リーグは1日、今季最も活躍した選手を選出する最優秀選手(MVP)を発表し、セは中日浅尾拓也投手(27)が初受賞した。

 MVPでごめんなさい-。中日浅尾は異例のざんげだ。MVP受賞会見で次点に終わった吉見について問われ、申し訳なさそうに同学年の同僚に謝った。「正直、僕は吉見が取るもんだと思っていました。僕が吉見の勝ちを2つ消してしまった。もし、消さなかったら20勝して(MVPを)取っていたと思います。吉見には『ごめんなさい』と言いたい」。

 晴れの舞台が一転、“謝罪会見”となった裏にはセットアッパーとしてのポリシーがある。「今年は先発の勝ち星をなくしてしまっているし、数字に表れない部分で失敗はしている」と話す。79試合に出場して防御率0・41とリーグ連覇の立役者であるが、救援に失敗は許されない。そんな強い意志の表れだった。

 「うれしいというより、驚きの方が大きい。中継ぎとして1年間、頑張ってきたご褒美と思っています」と、最後まで謙虚だった。先発機会のなかった投手として史上初だったゴールデングラブ賞に続き、同条件でのMVPは98年佐々木主浩投手(横浜)以来。182センチ、75キロとプロ野球選手としては細身の右腕が、球界に新風を吹き込んだ。【桝井聡】