広島ドラフト2位の菊池涼介内野手(21=中京学院大)が20日、「天然素材」で勝負する覚悟を示した。広島市内で行われた体力測定で、新人トップの瞬発力をマーク。プロ入りまで、筋力トレーニングを行わなかったルーキーは「ナチュラル・キクチです」と不敵。春季キャンプも1軍スタートが決定し、天然パワーで1軍定着を狙う。

 天然パワーは本物か?

 菊池が潜在能力の高さを見せつけた。新人8選手の体力測定は、野生児の独壇場。雄たけびを上げながら、次々とハイスコアをマーク。中でも瞬発力テストでは、入団時測定値としてはチームトップクラスをたたき出した。球団によると、10年盗塁王の梵英心内野手(31)、外野フェンスよじ登り美技の天谷宗一郎外野手(28)らの入団時に引けをとらない能力だったという。

 「ナチュラル・キクチです」

 プロ入り決定まで、筋力トレーニングに取り組んでこなかった“天然系”ルーキーは白い歯を見せた。

 春季キャンプは1軍スタートが決定している。遊撃手争いを演じる相手は、左膝のケガからの復活を期す梵、昨季のレギュラー木村。激しい戦いにも、小細工なしで飛び込む覚悟だ。遠投120メートルの強肩を生かす守備が売りだが、岐阜学生リーグの3冠王は自身の意外性にも期待している。

 「ありのままを見てもらったら、分かると思います。(アピールポイントは)守備だと思っているけど、運良く打っちゃったりしたら、評価されるかもしれない」

 前日19日に野村監督は「悪ガキみたいのが出てきてほしい」と要望。若手の殻破りを訴えたばかりだ。それに応えるように菊池が名乗りでた。

 怖いもの知らずの勢いだけではない。11日の入寮日から、室内練習場で夜間練習に取り組むなど、野球に対して真摯(しんし)な姿勢を見せている。大学時代は、グラウンドがある山道を走ることが最良のトレーニングだった。

 だが、年末からは独学でウエートトレーニングを本格的に取り組み始めた。開始から、わずか2カ月あまりだが、驚異的な成長を遂げている。

 「12月に買ったジーパンがピチピチ。今はタイツみたいになっています」

 キャンプを終えると、東出、天谷らが通うジム「アスリート」に通うことも決めた。開幕1軍の座をつかむため、卒業式も欠席する予定。野村監督が求める個性的な「悪ガキ」になれるか-。天然素材を存分に発揮して、プロの壁をよじ登る。【鎌田真一郎】