阪神秋山拓巳投手(20)が、春季キャンプで3年目にして初の1軍キップをゲットすることが濃厚となった。20日、西宮市・鳴尾浜球場でブルペン入り。視察した和田監督の前で35球を投げ猛アピール。指揮官も1軍帯同を示唆した。昨季は調整遅れで2軍スタートだった右腕が、開幕1軍入りを目指しスタートを切る。

 秋山が和田監督の視線独り占めを狙った。グラウンドでキャッチボールをしながらも、ブルペンで他の投手を視察する和田監督を意識していた。準備が終わると勇んでブルペン入り。僕を見てください-。ときおり指揮官の方に視線をチラチラ送りながら、立ち投げで力強く35球を投げ込んだ。

 秋山

 なるべく(監督に)見せるためにブルペンに入ったので。その意図を見せようと思いました。(キャンプは1軍の)沖縄でやりたいので。今の段階ではいい状態で投げられました。それをどう見てもらえるか。

 指揮官も「力が入っていたね。体も締まっている。今年はいい状態で順調に仕上がっているようだ。1年目にあれだけやっている投手だし、状態が良ければ(1軍メンバーに)入ってくる」と、3年目の若武者を初めて1軍キャンプメンバー入りさせることを示唆。アピール成功だ。

 高卒ルーキーだった10年は、シーズン終盤に4連勝を飾るなど一躍注目の的となった。だが昨季は、オフに疲労回復を優先させ、本格投球を控える調整が裏目に出てキャンプから2軍。開幕も2軍スタートを余儀なくされた。この出遅れが響いて1軍ローテ争いからも脱落。2年目はわずか2試合の登板に終わり、未勝利(1敗)、防御率6・14と悔しいシーズンを過ごした。

 今オフはオーストラリア・リーグに参加するなど、巻き返しに燃えている。昨秋からは、187センチの長身を生かした角度をつけた投球フォームの習得に挑戦しており、この日も昨季とはひと味違った秋山を印象づけた。

 秋山

 角度をつけることは意識していませんが、上半身のブレはなくなってきていると思います。

 山口投手コーチも「昨年のいまごろは強い球を投げられなかった。オフをしっかり過ごしたんだろう。(高い位置から投げるフォームも)板についてきたなという印象」と高評価した。

 指揮官は「(1軍入りを)目標にしてもらったら困る」と、先発ローテなどさらに高い目標を目指すようゲキを飛ばす。その期待に応えるべく、秋山は沖縄から猛アピールを続ける。【高垣誠】