中日高木守道監督(70)が2日、沖縄・北谷キャンプ2日目に初ノックでブーちゃんをしごいた。三塁兼任を命じた中田亮二内野手(24)にメニュー外の特守を70本。またテスト生のビクトル・ディアス外野手(30=元レンジャーズ)には、パイプ椅子に座らせて打撃指導。最後は雨の中1時間のサイン会も実施。70歳の12球団最年長監督は元気ハツラツだ。

 「ブーちゃん、ノック行くぞ!」。声の主はなんと高木監督だった。中田亮は仰天しながら、急いで守備位置に就いた。メニュー表になかった裏メニュー。ノックバットを握ったのは12球団最高齢の竜の将だ。「元気ハツラツ」70歳の70本鬼ノック。今季から一&三塁兼任を命じた中田亮をたっぷりしごいた。

 約15メートルの至近距離。三遊間と三塁線の打球を想定し、左右に激しく振った。17年ぶりとは思えない熟練の技で、捕るか捕れないかの絶妙コースに転がした。「体が伸び切っとるぞ」。「グラブの下じゃないか」。容赦なくゲキを飛ばした。間一髪捕球しても「イージー、イージー」。後逸が目立ち始めると「5キロ減らすぞ!」。体重107キロからの減量指令も出た。客席のファンも巻き込み、ワールド全開の20分間だった。

 高木監督

 あれはノックのうち入らない。それより体重を減らして、もう少し足を動かさないと。守りが良くなれば打撃にもいい影響が出るんじゃないかな。

 息ぜいぜいのブーちゃんを尻目に、少し厳しく言った。パンチ力を生かすため、2ポジションを任せる。期待の表れがノック1号の指名だった。ただ、もう少し体重を落とさないと、打撃もキレが出ない。それを伝えたかった。「突然でびっくりしましたけど、教えていただいて幸せ。しっかり練習します」。中田亮にも感謝感激の特効薬になった。

 打撃練習でも精力的に動いた。テスト生のディアスをつかまえると、グラウンドにパイプ椅子を用意。座ってバットを振る珍練習を課した。ややアッパー気味のスイングを矯正する守道マジック。ディアスも「しっかりボールを捉えられるようになった」とご満悦の即効性だ。個々の能力を引き出すアイデアは満載。「長いズボンはメタボに似合わない」。時々、自虐ネタも飛ばす古希の将は硬軟自在だ。

 締めは1時間に及ぶ即席サイン会。「監督、すごいですね」。山本昌も感嘆する雨の中、立ちっ放しで列が途切れるまでペンを走らせた。恐るべし70歳。いや、日本一元気な70歳なのかもしれない。【松井清員】