5日で100発!!

 高卒2年目で沖縄・宜野座キャンプに大抜てきされた阪神中谷将大捕手(19)が5日、屋外での打撃練習で14本の柵越え。通算柵越えジャスト100本で第1クールを終えた。序盤から天性のパワフル打撃を猛烈アピール。和田チルドレンの未来の4番は本物や!

 南国の空に、幾度となく美しいアーチが架かる。キャンプ5日目にして、もう見慣れた光景になった。日がかげり始めたころ。中谷が、片岡コーチと対した特打の213スイング目だった。左翼から右翼へ右打者にとって不利な風が吹く中、フルスイングではじき返した打球は左翼席に消えた。これが今キャンプで100本目の柵越え。第1クール3度目の特打を大台に届く1発で締めた。

 未来の4番の勢いはとどまるところを知らない。キャンプ初日から持ち前の飛距離を存分に見せつけた。ノーアーチは前日4日のみ。2日に1度のペースで特打に取り組み、積み重ねた柵越え数は並み居る先輩方をしのぐ100発。その数を伝え聞いても、天然マイペース系の中谷は、あっけらかんとしていた。

 中谷

 本当ですか?

 絶対うそでしょ?

 ファウルも数えてるでしょ?(笑い)

 プロ1年目の昨季、公式戦でノーアーチだったのが信じられない長距離砲ぶりだ。捕手からの本格転向で、ドラフト1位伊藤隼や俊介、田上らとの外野サバイバルに参戦中。柵越え数ではライバルを寄せ付けない。生え抜きの和製大砲育成がチームの課題。中軸を担える素質がある中谷が、期待のキャンプ抜てきにこたえる猛烈な滑り出しだ。

 フリー打撃では1軍実績もバリバリの久保田と“対戦”した。15球目を右翼ポール際に運んだ。屋外打撃はとにかく豪快で、大飛球を次々と打ち上げる。秘訣(ひけつ)の1つは、昨秋キャンプで徹底的にたたき込まれた下半身を使って打つこと。この日も特打前には片岡、高橋両コーチが見守る中、素振りしながら外野フェンス沿いを右翼から左翼へ行進した。がっちりした土台が、飛距離アップの元のようだ。

 1軍キャンプ初参加でも疲れは見せない。澄み渡った沖縄の青空のように、中谷の表情は生き生きしている。今季の目標に掲げるのは1軍デビュー。自慢のバットでの猛アピールが、夢の実現を近づける。【岡本亜貴子】