“後輩の同い年”に、怪物も発奮した。日本ハム中田翔内野手(22)が9日、紅白戦で今キャンプの実戦初安打となる中前打を放った。追い込まれてからしっかりと変化球をはじき返し、状態の良さをアピールした。自身のことよりも、実戦4打数3安打のルーキー大嶋匠捕手(21=早大ソフトボール部)に興味津々で「よく打つね~」とたたえていた。

 同じ大砲のにおいを感じるのか…。報道陣に囲まれていた中田が、突然自ら話題を替えた。「しかし、大嶋くんよく打つね~。『中田、大嶋に弟子入り』で1面書いてよ」。冗談を交えながら、売り出し中の新たなチームメートを歓迎した。

 プロ5年目となる中田だが、2人は同い年。中田も高卒1年目の08年に、キャンプ序盤から特大弾をたたき込むなどド派手なデビューを飾っており、過去の自分の姿と重ね合わせる。「最初は何も考えないで振っていた。でも途中から、面白いくらい球に当たらなくなるんだよな…」。プロの壁にはね返された苦い思い出。異種目へ挑戦する大嶋の奮闘ぶりには、人一倍注目している。

 大嶋の活躍で目立たないが、自身の調整は順調に進んでいる。2回の第1打席には、1ボール2ストライクと追い込まれながら、カーブに体勢を崩されることなく、今キャンプ初安打となる中前打を放った。「自分が思っている以上にいいです。ああいうカーブは得意ではないけど、うまく押っつけることができた。前に突っ込んでいたら打てなかったと思う」。マシン打撃ではスローボールを打ち、右足に体重をためることを意識してきた。その成果が、実戦で表れた一打だった。

 明日11日の広島戦(名護)は、開幕で目指すべき「4番」で出場することが決まっている。「しっかりとバットを振れているので、(打順は)考えません」。表情にはかつてないほど、自信がみなぎっていた。【本間翼】