ロッテのドラフト1位左腕、藤岡貴裕(22=東洋大)が「完成品」ぶりを披露した。11日の紅白戦で先発し、実戦初登板。最速145キロを記録し、1発も浴びたが、3回を2安打2奪三振1失点と上々の内容だった。視察した他球団スコアラーからは完成度の高い素材に絶賛の声が相次いだ。

 ベビーフェースに似合わず「ヨシ!」と、うなりながら投じるボールの力は本物だった。2回の金沢にこの日最速となる145キロを連発。3回に早坂から143キロの外角直球で空振り三振を奪った1球は「今日はあまり球が走っていなかった。でも早坂さんへの直球は指にかかっていた」と自らも合格点を与えた。縦スライダーを中心に変化球もキレ、精度がよく、大崩れしないタイプだ。

 ネット裏にはソフトバンク、楽天、阪神、ヤクルトの4球団のスコアラーが集結。最高級の言葉を並べたのはヤクルト片岡スコアラーだった。「超完成品。フォームは教科書に載せたいぐらい。制球もいいし、球の出どころの見づらさは成瀬に似ている。ここまで完璧な大卒投手は初めて見た。巨人沢村も球自体は一級品だったけど、バラツキがあった。直球に力が出てきたら2ケタは軽い」と称賛は止まらなかった。

 3回2死の伊志嶺の右越え弾は風にも乗った部分はある。だが甘んじず「外のボールが甘く入った」と課題と受け止めた。次回は18、19日のいずれかの紅白戦に登板とみられる。「今日は40点ぐらい。空振りが全然取れなかった。徐々に上げてオープン戦でしっかり投げたい」。藤岡の求める理想は高い。【広重竜太郎】