ヤクルト期待のホープ、山田哲人内野手(19)が、球団史上55年ぶりとなる高卒2年目内野手の開幕スタメンに大きく前進した。22日、浦添市民球場で行われた韓国・ハンファ戦に「8番遊撃」で先発出場。4打数2安打で、先発6試合連続安打をマークした。高卒2年目内野手では、前身国鉄時代の57年に土居章助が出場して以来で、現球団名では初。かつての「ブンブン丸」池山(現2軍打撃コーチ)らもたどり着かなかった偉業に挑む。

 内角低めの直球を、腕をたたんで振り抜き、三遊間を抜いた。7回無死で迎えた山田の第4打席。続く初球、ワンバウンド投球をキャッチャーがわずかにそらすと、すかさず好判断で二塁に進む。森岡の適時打でダメ押しとなる11点目のホームを踏んだ。俊足好打の持ち味を存分に発揮。「1つ1つ、プレーでアピールしていきたい」と、日焼けした顔で話した。

 この試合は4打数2安打3得点。今キャンプ先発6試合連続安打で、7試合計27打数9安打の打率3割3分3厘をマークする。途中出場1試合で、残りはすべてフル出場。正遊撃手の川端は左手首痛のため2軍調整中で、実戦復帰のメドが立たない。「強気で。狙っています」。球団55年ぶりの開幕スタメンは、強く現実味を帯びてきた。

 遊撃手の大先輩、宮本からは後継者候補の期待を受ける。1月の愛媛・松山自主トレに同行し、巨人坂本とも1週間トレーニングを共にした。同じく高卒2年目で開幕スタメン出場した坂本からは1・5キロのマスコットバットを譲り受けた。それまで使ってきた1・2キロより300グラム重いバットを振り込み、スイングスピードを上げてきた。

 今キャンプは、すべての休日で、休日返上練習を行っている。「一番若いので休んでる場合じゃないです」。練習後は城石内野守備走塁コーチとマンツーマンで、課題の守備に取り組む。猛練習で体重は2キロ減った。昨季は2軍戦全114試合に出場。CSファイナルSでスタメンに抜てきされ、打撃では結果を出したが、第4戦の1回に4失点につながる失策を犯した。

 大舞台での苦い経験は忘れない。同コーチは「もともと守備範囲は広い。意識は変わっている」と言う。得意の打撃では20日のオリックス戦、この日と3打席、2打席凡退後に2安打を放つ粘りを見せる。球団待望の生え抜き野手のスター誕生へ、可能性は十分詰まっている。【前田祐輔】