ブラよ見たか!

 阪神城島健司捕手(35)が一塁のポジション争いで先制パンチを繰り出した。23日、紅白戦に「5番一塁」でフル出場。7回裏に左翼へ“今季1号”の2ランを放った。ライバルのブラゼルは左翼を守り、金本を加えた強烈なトライアングルが猛虎を熱くしそうだ。

 鮮やかな放物線で、壮絶なバトルの幕が開けた。紅白戦の7回裏1死二塁。白組の5番城島がフルカウントからの甘いスライダーを見逃さなかった。「反応した。ホームランを1本損しました」。打球は左翼フェンスを越え、芝生の上ではずんだ。本人ならずとも、シーズンに取っておきたい「今季1号」だった。

 昨年に痛めた左膝と右肘の状態を考慮し、捕手復帰のメドは立っていない。出場機会を求めて、キャンプでは一塁や外野の守備練習を精力的にこなす。狙うは一塁での開幕スタメンだ。この日は2回に金本のゴロを問題なく処理した。しかし4回に平野の打球を取り損ねて、左ふくらはぎに受けた。「カネさんのを処理してヨシヨシと思ったが、もっと強烈なヤツがきた。メチャクチャ、痛いよ」。冗談めかした言葉は、充実感の表れか。259日ぶりの実戦復帰となった19日巨人戦でも復活ヒットを放った。連日の一塁猛特訓が打撃にも生きている。

 城島の号砲は、ライバルのブラゼルに対する先制パンチでもあった。一塁のレギュラーであるブラゼルの危機感は相当なもので、志願の特守はもちろん、5年ぶりに外野練習を開始した。実績十分の両者だけに、開幕直前まで激しくポジションを争うのは確実だ。このバトルはチームにとって、損はない。

 和田監督

 相乗効果だ。ブラゼルも奮起するし、カネも黙っちゃいないだろう。打順は本人がどう思っているか分からないが、ここの打順を打ってやろう、というのがあるだろう。高いレベルで競争してくれる。

 金本を加えたトライアングルを形成。ポジションはもちろん、主軸争いもヒートアップしそうだ。

 一塁城島の可能性は日増しに大きくなってきた。「新井は魅せるわ!

 グラウンドにいても、どうしても彼に目がいくよ。そういうものを持っている」。球場を去る直前に、好守を連発した三塁新井の話題に笑みを浮かべた。自分が「台風の目」であることを知ってか知らずか、その表情はイタズラ小僧のようだった。【田口真一郎】