オープン戦初戦に先発する西武涌井秀章投手(25)が、因縁のライバルに投げ勝って開幕投手の座をつかむ。今日3日の巨人戦で投げ合う杉内俊哉投手(31)は、昨年死闘を演じた相手。互いに悔し涙を流して降板したクライマックスシリーズ(CS)以来の先発対決に、渡辺監督は「結果より内容。燃える要素はあるからね」と5年連続大役へのアピールに“杉内超え”を求めた。

 球史に残るマッチアップが再現される。昨年11月5日、ソフトバンク対西武のCSファイナルステージ第3戦は先発の両投手が譲らず9回まで両軍無得点。延長10回、先に失点した杉内が号泣すると、その裏に涌井が同点にされ、普段クールな感情を抑えきれずに目から涙があふれた。球数が同じ127球というのもドラマがあった。同点打を許した長谷川の打席で、渡辺監督は「代えるに代えられなかった」と石井一への交代を決断直前で踏みとどまり、エースに託したことを明かした。

 涌井は2日、西武室内練習場で軽めの調整。登板前日の意気込みに「何もない」とノーコメントだったが、隣にいた西口が「ラミレス、クロマティ、呂明賜(ろめいし)に気を付けます」と代弁して笑いを誘った。開幕投手は横一線だが、実績と調整の順調さからみれば、4日巨人戦で先発する岸との一騎打ちが予想される。「開幕は絶対に譲れない」と言ってきた涌井が、杉内と、巨人の強力打線も圧倒して開幕切符を手に入れる。【柴田猛夫】

 ◆昨季CSの涌井対杉内

 ファイナルステージ第3戦でともに9回まで無得点に抑える白熱した投手戦。引き分け以下なら日本シリーズ進出の望みを絶たれる西武は10回表、フェルナンデスの適時二塁打で先制した。打たれた杉内は悔し涙で降板。一方の涌井も1-0完封まであと1人から長谷川に同点の適時二塁打を浴び、涙を浮かべながら127球で降板となった。試合は12回裏、長谷川のサヨナラ打で決着した。