<オープン戦:中日3-1広島>◇2日◇ナゴヤドーム

 中日ドラフト1位高橋周平内野手(18=東海大甲府)が、ナゴヤドームのデビュー戦で初陣高木竜の勝利を呼ぶヒットを放った。7回の右前打が決勝の2得点を呼んだ。今日3日は高校の卒業式に出席。「やまなしスポーツ賞」も受賞したゴールデンルーキーが堂々と地元に凱旋(がいせん)する。

 名刺代わりの本拠地初安打はライナーで右前に弾んだ。はにかむ高橋周をこの日一番の大きな拍手と歓声が包んだ。バリントンと岩見の前に2打席凡退したが、7回最終打席で魅せた。4年目中田の133キロ内角高めの真っすぐを痛打。やはり持ってる18歳だ。

 「打てないのは当たり前と思って、納得できる打撃をしようと。でも3打席立たせてもらったんで何とかという感じでした」

 停滞ムードも動かした。同点の1死一塁。高橋の一撃で好機を広げた打線は続くディアス、堂上直が連続適時打で2点勝ち越した。オープン戦2試合5打席目、さらには国内球団相手の実戦初安打が、高木監督の地元初陣勝利を呼ぶ1本にもなった。「元気出して頑張れ!」と送り出した指揮官も文句なしの二重丸だ。

 「2打席やられたけど最後に打つのは大したもん。それも拍手をもらった名古屋で。ファンも喜んでくれたんじゃないか」

 今日3日の卒業式に出席する。仲間との再会を「楽しみ」に里帰りする山梨・甲府。スポーツで優秀な成績を収めた選手を県が表彰する「やまなしスポーツ賞」も受賞した。キャンプから帰った1日は、初めての名古屋の街で30分もかけて美容院探し。「切ってさっぱりして」地元初戦と卒業式に備えるためだった。

 「この球場は初めてだしオープン戦は練習試合とも雰囲気が違いました。応援もプロ野球っぽい」と笑った。高校生として打った最後のヒットが、名古屋での船出を飾る意義ある1本になった。周平伝説、ワクワクの幕開けだ。【松井清員】