<オープン戦:ソフトバンク1-1ロッテ>◇3日◇福岡ヤフードーム

 脱力して復活-。ソフトバンク新垣渚投手(31)が3回を無安打無失点に抑え先発ローテーションへ猛アピールした。脱力投法に転換しながらも最速147キロをマーク。ツーシームなどの変化球で三振も3つ奪った。右肩関節炎で2年間1軍登板がなかった右腕が、3年ぶりの1軍マウンドへ1歩近づいた。

 3年ぶりの1軍のマウンドへ、背番号18が力強く1歩を踏み出した。3回を無安打に抑えた新垣には笑顔が浮かんだ。スタンドの歓声が心地よかった。

 「大勢のファンの前で投げられるのはうれしいです。ドームで投げるんだという気持ちが一段と強まりました」

 4回から登板し、いきなりクリーンアップとの対戦となったが、1人目の井口にはこの日最速となる147キロをマーク。最後は右翼へヒヤリとする大飛球を飛ばされ多村の好捕に助けられた。だが5回は里崎からスライダーで、6回には清田から大きく落ちるツーシームでいずれも空振り三振。「落ちる球が必要」と2年前の秋から復活をかけて習得したツーシームが大きな武器になった。

 「三振は意識していない。あのツーシームも振ってくれて助かりました。振ってくれる感覚をつかめばもっと大胆に投げられると思う」

 3回無安打の結果は剛腕でねじ伏せたわけではない。制球を重視した脱力投法が生んだものだ。「7~8分(の力)で投げることができた」。右肩関節炎で09年5月以来1軍のマウンドから遠ざかり、2年間もがき苦しんだ。復活のために150キロ超のスピードではなく制球で生きる道を選んだ。昨季は制球重視の投球への切り替えがなかなかできず2軍暮らしが続いたが、昨秋のアジアシリーズでは統一(台湾)で5回2安打無失点と復活の足がかりをつかんだ。

 入念なケアで肩の不安もようやく解消され、キャンプでは十分投げ込んだ。まだ、走者を出したときの制球や球数などの課題は残る。それでも、先につながる投球を見せられた。秋山監督も「渚は順調にキャンプを消化してオープン戦に入れてよかった」と今後に期待を膨らませた。

 04年から3年連続で2桁勝利をあげた右腕も今はローテを狙う若手と横一線。「今は自分のことで精いっぱい」という。再起をかける10年目。「若い選手に負けないようにアピールしていかないと。今年はチームの勝利に貢献したい」。2年連続日本一へ、エースナンバーを背負う男の復活が大きなカギになる。【前田泰子】