半歩でも前に出よ!

 和田阪神が9日「走塁革命」に着手した。西武戦(甲子園)は雨天中止となったが、時間を有効活用。鳥谷や関本が室内練習場でリードを従来よりも半歩から一歩長くとることを試みた。3年連続でチーム盗塁数が12球団トップのソフトバンクから学び、首脳陣が動いた。「50センチ」にこだわり、日本一をもぎ取る。

 チーム力アップのためならば、プライドもかなぐり捨てる。和田阪神が他球団をお手本に「走塁革命」に取り組んだ。室内練習場で、鳥谷と関本がどれだけリードを取れるか、試行錯誤していた。山脇守備走塁総合コーチが平野と話しながら、見守っていた。同コーチは言う。

 「半歩でも1歩でも大きくできれば、盗塁の確率も変わってくる。バッテリーに警戒もさせられる」

 距離にすれば、50センチ前後か。このこだわりが、勝敗を分けるかもしれない。

 前回の博多遠征がきっかけだった。

 和田監督

 三塁ベンチで(走者が)見やすい位置だった。ソフトバンクの選手と半歩違う。それも1人だけじゃなく、3、4人のメンバーがアンツーカーから出るくらいリードしていた。相手チームから、いい見本が見られた。いいことはドンドン取り入れてやっていきたい。

 ソフトバンクは、3年連続で12球団トップのチーム盗塁数を誇る。盗塁王の本多を筆頭に、走力のある選手が多い。ただ足が速いだけでなく、その準備段階に着目した。試合後のコーチ会議で議題に挙がり、リードの大きさについて、ナインにもすでに話した模様だ。阪神にも走塁意識の高い選手はいるが、さらに上を目指して、他球団からも貪欲に学ぶ姿勢を見せた。

 リードを大きく取れれば、盗塁だけでなく、二塁から一気に本塁を陥れる可能性も高くなる。鳥谷は「リードをどれくらい取れるか」と、この日の練習を振り返った。開幕までにチャレンジできることは、すべて行うのが和田イズムだ。山脇コーチは「新井にも盗塁のサインは出る。共同作業でやっていく」と話した。

 半歩でも前に出よ!

 これが新たな合言葉。手段を尽くして、総合力の向上に励む。【田口真一郎】

 ▼昨季阪神のチーム盗塁数はセ・リーグ3位の62個で、パ・リーグトップ、ソフトバンクの約3分の1にとどまる。05年までは赤星憲広氏が5年連続盗塁王に輝くなど、チームの機動力が目立っていたが、同氏が首痛に苦しみ出した06年からは低迷。昨季は延べ12人が盗塁を記録し、チームトップは鳥谷の16盗塁だった。<和田革命アラカルト>

 ◆熱くなれ!!

 昨年12月3日のファン感謝デーで新スローガンを披露。「熱くなれ!!」のフレーズを強調して熱いチームに生まれ変わることを宣言。

 ◆2月実戦づくし

 2月に8試合の対外試合を予定。2月26日の中日戦(北谷)は悪天候のため中止になったが、チームでは、ここ10年で最多となる7試合を実施し戦力を見極めた。

 ◆膝蹴り

 2月2日の特守で、自ら岡崎、清水の両捕手に体当たりやニーキックを浴びせて激しいクロスプレーを演出。1点を守る大切さをたたき込んだ。

 ◆時間差タッチアップ

 2月13日、1死一、三塁で、一塁手と右翼手の間に飛球が上がった場面の攻撃を想定し、それぞれの走者が時間差でタッチアップして、1点を狙う練習を繰り返す。年に1度のプレーに1時間以上をかけた。

 ◆大声でMVP

 2月29日、沖縄キャンプのMVPに新井良を指名。「彼の声がチームを盛り上げてくれた」。