<オープン戦:広島4-5ヤクルト>◇11日◇福山

 打球の痛みに負けていられない。宮城出身のヤクルト由規投手(22)が先発するも、3回無死で松山の打球が右膝付近を直撃。同僚に背負われてベンチに引き揚げ、そのまま交代した。だが試合中に福山市内の病院で受けた検査で、骨には異常のない打撲と判明。試合終了前に球場に戻った由規は「大丈夫と言われたので安心しています。開幕は待ってくれないので、100%の力を出せるようにやっていきたい」と、アクシデントを乗り越えて開幕に臨む覚悟を示した。

 節目の登板に気持ちは高ぶった。2回に4安打を浴びて3失点。だが広瀬の投ゴロを処理しそこねて安打にし、1死満塁から丸の併殺コースの二ゴロを田中が失策するなど不運が重なった部分もあった。「打たれましたけど、日に日にいい球は増えてきている。収穫は結構あったと思う」。

 東日本大震災からちょうど1年にあたる、午後2時46分に合わせて試合を中断し、3回裏に行われた黙とうはベンチ裏でささげた。その瞬間にマウンドに立つことはできなかったが、「今日この日に投げられたことでいろいろ感じるものがあります」と思いをかみしめながら話した。

 1年前は仙台の実家が被災し、家族はしばらく車の中で暮らした。大切な知人も亡くした。思いを込めて臨んだ昨季は右肩痛で終盤に離脱しただけに、今季にかける気持ちは強い。「去年は悔しい思いをしたし、チームにも迷惑をかけた。それを全部取り返すためにも、最初から最後まで投げ抜いてチームに貢献したい。それで勇気や元気を与えられたら」。キャンプ序盤に故障に見舞われるなど決して順風満帆な春ではない。それでも故郷東北のように、由規もまた立ち上がる。【大塚仁】